アドラー心理学サロンです。
アドラー心理学では、全ての悩みは対人関係の悩みであるとしており、人々は自分の「味方」であり、「敵」ではないと認識することが幸せになるために大切であるとしております。
そこで今回は、アドラー心理学が提唱する幸福な人生を送る為の目標とそれを達成する為の「人生のタスク」について解説していきます。
対人関係の中に「競争」があってはならず、人々は自分の「仲間」であると捉えることで世の中への見方は大きく変わると考えており、どうしても人々が「敵」と見なしてしまい、「仲間」であると思えないのか、それは幸福になる勇気のないあなたが「人生のタスク」から逃れようとしているかもしれません。
「人生のタスク」について解説する前に、アドラー心理学が掲げている人間の「行動面」と「心理面」の在り方についての明確な下記の目標があります。
これらの目標を、「人生のタスク」と向かい合うことで達成することができるとしております。
行動面の目標
1. 自立すること
2. 社会と調和して暮らせること
心理面の目標
1. 私には能力があるという意識
2. 人々はわたしの仲間であるという意識
それでは、「人生のタスク」とはなんであるのかご説明します。
人生の一連の過程は、人は親の庇護を受けた状態で誕生し、やがて「自立」をし、何らかの仕事を得て働き始めます。
その自立するまでの成長過程と、自立後の人生で様々な「交友」をして誰かと「恋愛」をすることになります。
この一連の人生における過程で生じる対人関係を、アドラー心理学では「仕事のタスク」、「交友のタスク」、「愛のタスク」の3つに大別しており、これらをまとめてアドラーは「人生のタスク」と呼びます。
つまり、人が社会的な存在として生きる上で直面する対人関係を「人生のタスク」であると言えます。
それぞれの人生のタスクの中で、問題となるのが「距離」と「深さ」の2つのポイントです。
この「人生のタスク」の内、「仕事のタスク」は最も簡単なタスクであり、仕事上の特定の目標に沿って協力することができる為、容易に互いに協力することができることから「距離」と「深さ」に関しては比較的容易に対処することができることでしょう。
「交友のタスク」となると、学校や職場という秩序があり、強制力の強い場所から個人的な友人関係に踏み込むと少々難易度が上がり、最も困難なのが「愛のタスク」となります。
「愛のタスク」となると、前述した「距離」と「深さ」の取り方が大変複雑になり、距離も近ければ関係も深くなり、嫉妬などの感情もより強く感じるようになります。
「愛のタスク」において、アドラー心理学の特徴的なところは、相手を束縛することは認めず、相手が幸福そうにしていれば素直に祝福することができることを愛であるとしています。
つまりお互いに束縛をするような関係はいずれ破綻してしまうと提唱していることです。
え…それは浮気や不倫などの不貞行為を肯定してしまっているのでは? と思われた方も多いことでしょう。
積極的に浮気や不倫などの不貞行為を肯定している訳ではなく、もちろんそのような裏切りを故意に行うことは良いことではありません。
しかし、アドラー心理学ではこう考えます、一緒にいて息苦しさを感じたり、緊張するような関係は「恋」であっても「愛」ではなく、「愛」を実感するのは「この人と一緒にいるとすごく自由に振る舞える!」と思えた時としています。
劣等感や嫉妬、優越性の誇示をする必要がなく、自然な状態でいられることこそ「本当の愛」と言えます。
相手を束縛しようとすることは、劣等感や相手への不信感に基づいた「支配欲」の表れであり、このように負の感情があって自然な関係を築くことは到底できません。
アドラーは、「一緒に良好な関係で仲良く生活するには、互いを対等な人格として扱う必要がある」と言います。
しかし、交友関係や恋愛関係、夫婦関係では別れるという選択肢があるのに対し、親子関係では別れることや縁を切ることは現実的でなく、これが親子関係を困難にしている原因です。
この「人生のタスク」において、どんな時も「今このまま」にしてタスクに向かい合うことから逃げることは、たとえ最終的に関係を断ち切ることになっても止めましょう。
アドラーは「人生のタスク」から逃れようとすることを、「人生の嘘」と呼びます。
「人生の嘘」とは具体的には、様々な理由を付けて人生のタスクを回避する事態を指しており例えば、恋愛関係においてある日を境にして相手のやることなすことが全て気に入らなくなり、全てに腹を立てるようになることがあります。
話し方が気に入らない、食べ方が気に入らないなど、つい数日前まで気にもかけなかったことにイライラし始める、こんな経験は皆さんお持ちなのではないでしょうか?
この状況は、その人がどこかのタイミングで「この関係を終わらせたい」と決心しており、その為の材料を探しているのです。
相手は何も変わっていないのですが、自分自身の「目的」が変わっている状態です。
つまり、この状況はこの人が今、自分の置かれている事態の責任を他者や環境に転嫁して「人生のタスク」から逃れようとしているのです。
ここで言えるのは、「あなたのライフスタイル(性格)を決めているのは、他の誰でもないあなた自身である」ということです。
人はその気になれば、相手の欠点や短所などいくらでも見つけることができ、あらゆる他者を「敵」と見なすこともできれば世界を危険なところにすることもできるのです。
「人生のタスク」や「人生の嘘」と正面から向かい合うには「勇気」が必要なのです。