アドラー心理学サロンです。
よく、アドラー心理学は過去に何があってもそんなことは気にせずに前向きにひたすら生きろ!という心理学だと思われていたり、自分勝手に自分さえ良ければ他人なんてどうなっても良いという考えのある心理学だと思われがちです。
これらの考え方や捉え方は、正しくも間違ってもおらず、単にこのアドラー心理学の活用方法に違いが生じると考える方がしっくりくるかもしれません。
今回は、そんなよくあるアドラー心理学の過去のトラウマへの考え方とその活用方法について、原因論と目的論に分けて解説していきます。
アドラー心理学ではトラウマの存在を否定しています。
人は常に、過去を原因とせず、何らかの目的に沿って行動を取っているとしています。
巷の心理学は、過去のトラウマの分析から現在と未来を考える、フロイト心理学が中心となっております。
現在から未来にかけてに焦点においております。
たとえば、現在引きこもりになっているとします。
フロイト心理学では、この人は過去に学校や職場といった場所で傷付いた経験がトラウマが原因であると考えます。
治療には、このトラウマを分析し、トラウマ自体へ対処をして治療します。
しかし、アドラー心理学では、このトラウマの存在を認めておりません。
引きこもっていることは、学校や職場で傷付けられた経験が原因とは考えません。
この人は、「傷付けられたくない」という目的を達成する為に、現在引きこもっていると考えます。
と、この部分で、アドラー心理学へのよくある誤解があります。
アドラーは、過去は「原因」にはならないとしていますが、過去の「影響」はあると言及しております。
つまり、過去への意味付けを現在の「目的」に沿って再選択するという作業が治療において必要になることもあるのです。
この過去への意味付けの変更という作業が、フロイトの過去のトラウマへの対処と同じように見えることから、アドラー心理学は矛盾していると捉えられることもあります。
また、アドラー心理学は「過去なんか忘れて今とこれからどうするかだけを考えろ!」といった厳しさのある心理学だと思われがちなのです。
それに加えて、アドラー心理学は、アドラーの著書が絶対的に少なく、アドラーが残した断片的な言葉などを頼りにまとめ上げられております。
アドラー心理学を活用したアドラー流カウンセラーにも流派があり、アドラーの考え方の源流に則ってはいるものの伝え方や考え方に誤差が存在することも誤解の原因です。
本記事にて、少しでも多くの方がアドラー心理学への認識を深めて頂けたのなら望外の喜びです。