アドラー心理学サロンです。
メールにてご相談頂いた内容を事例として質問と回答のセットでご紹介致します。
個人情報に関しましては、ぼかしを入れますが、皆様のお悩みの解決の一助となれれば幸いです。
※個人情報の保護の観点から、回答文に失礼な表現が含まれますが、実際の言葉遣いとは異なります。
Q1. ご相談
・年齢(年代でも可) 45歳
・性別 女
・職業 会社員
・今後どうありたいのか
母親を大切にしたいし、幸せにしてたい。
・ご相談内容
母親に対しモラハラをやめられない。
・問題だと思う点
年老いた母親に対し、労わることが出来ない。
元々あまり気の合う親子ではない。
しかし問題は大切にしたいのに、逆の行動を取ってしまうこと。
嫌だと思いながらも、母親を罵ってしまう。
自分の人生においてうまくいかなかった事すべてを家族のせい、身近にいる母親にぶつけてしまう。
母親を思い別々に暮らしたいが経済的に出来ず、精神的に辛い思いをさせている。
してしまった後、落込みと、だから自分は幸せになれないんだと今度は自分を責めさらに落ち込んでしまう。
以上、箇条書きで失礼いたします。
A. 回答
アドラー心理学サロンです。
年老いたお母様を大切にして幸せにもしてあげたいが、どうしても罵ってしまったり傷つけるようなことをしてしまい、思いとは逆の行動を取ってしまうとのこと、お辛いですよね…
実はこれは良くあることなのです。
主たる原因としましては、仰せの通りもともと気の合う関係ではなかったことから、過去の記憶だと思われます。
あなた自身もお母様に傷つけられたり、困らされた経験があって「なんであなたは私をもっと大切にしてくれなかったの?」という思いがどこかにあるのかもしれませんね。
これは決して悪いことではなく、普通のことです。
生まれてから成長するまでの間、親子は一心同体でお互いに区別がつかないことも多く、気が合うか合わないか以前に互いに心の内を理解できているはずという暗黙の了解を了承できているはずであるというような思いもあったりします。
あなたの中にお母さんにはこうあって欲しいという理想像があり、お母様にも娘にはこうあって欲しいという理想像がお互いに大なり小なりあることでしょう。
多くの親子関係が崩れてしまうポイントはこの理想像にあります。
この理想像からの引き算をして存在を認識するのではなく、足し算で存在を認識するようにするのはいかがでしょうか?
親子関係に限らず、人は人をどんな役に立つのか?、どんな能力があるのか?、何をしてきたのか?といった生産性でその存在の高低を評価してしまいがちです。
そういった生産性ではなく、その人の存在自体、あなたの場合ですとお母様の存在自体の捉え方を考え直してみると良いかもしれません。
あなたの生い立ちは分かりかねますが、あなたが誕生した際には何の役にも立たない赤ちゃんのあなたを掛け替えのない存在として誰よりも大事に思い、体調が悪くても、どんな時でもあなたを守り育てようとしていたのはあなたのお母様だったと思います。
また、あなたが幼かった時には、あなたはお母様を、特に理由も無く誰よりも大切な存在として認識されていたことでしょう。
「何をしてくれたのか?」や、「こうあって欲しい」といった成果や生産性で理想像から引き算をしていくのではなく、お母様の存在そのものを0からの足し算で捉え直せば、お母様への扱い方も変わるかもしれません。
また、あなたがどんなに精一杯お母様の為を思って努力しても、お母様がそれを良く思わなかったり、反対的な態度を取ってくることもあることでしょう。
その場合には、アドラー心理学の代表的な考え方の一つである「課題の分離」を心掛けましょう。
お母様が何をどう思うのかはお母様の課題であり、あなたから諭したりすることはできても本質的には変えることができないものであると認識することです。
他人のことはどうあがいても変えることは不可能であり、そこで悩むのはあまり得策とは言えません。
また、お母様から感謝してもらえないこともあることでしょう。
その場合にも、アドラーが提唱している「承認欲求の否定」の考え方を意識してみましょう。
アドラーは、承認欲求を満たす為に生きることを激しく批判しております。
誰かに認めてもらう為だけに生きることは、自分の本来求める人生を送ることはできず、他人が良しとした人生を生きることになり、幸福にはなれないとしています。
お母様から「ありがとう」といった感謝の言葉を貰うことや、親戚の人から褒めて貰うことを目的とはせず、あなたの「母親を大切にして、幸せにしてあげたい」という思いを追求して、あなたの自己満足で完結させて下さい。
そうでなければ、あなたもお母様も不幸になりかねません。
お仕事ならお金が絡みますので、ある程度自分がどれだけ頑張っているのかアピールしたり、褒めてもらえるように働く必要はあるかもしれませんが、私的な生活にまでその概念は持ち越さないようにした方が良いでしょう。
アドラー心理学の考え方である、上記の「課題の分離」と「承認欲求の否定」をこのように応用することで、新しい価値観が生まれてくるかもしれません。
また、どうにもお母様と気が合わず一緒に居るだけでイライラしてしまいどうにもならないのなら、せめて心だけは離してしまいましょう。
不満を抑えつけたままでは、いつか限界がきてしまいます。
そうした区別も必要です。
私の回答が、あなたのお悩みの一助となれば幸いです。