ポジティブ心理学サロン(アドラー心理学サロン)

実用的なアドラー心理学をご紹介しております。TwitterやFacebook、Instagramでも発信しておりますので、是非ご覧下さい。

【知らないと怖い】承認欲求はあなたを誰かの奴隷にする鎖

アドラー心理学サロンです。


メールにてご相談頂いた内容を事例として質問と回答のセットでご紹介致します。


個人情報に関しましては、ぼかしを入れますが、皆様のお悩みの解決の一助となれれば幸いです。


※個人情報の保護の観点から、回答文に失礼な表現が含まれますが、実際の言葉遣いとは異なります。


Q1. ご相談

はじめてメールさせていただきます。

ツイッターでは拝見したことはあったのですが、自身がブログをはじめたことで休暇中アドラーサロンにはまり込んでしまいました。

 

何分ブログ、アドラー共に初心者のため失礼等ございましたらご容赦下さい。

 

尚もし本メールがお目にとまる機会がございましたらご回答いただければ幸いです。


私は40代男性で仕事以外の趣味は読書くらいです。

社会的には比較的恵まれていると思っています。

 

ただ数少ない理解者からの承認を糧に頑張れてきたのが現在までで今その理解者を失おうとしています。

 

おそらく仕事が始まれば手を抜くことはないと思いますが全てが空虚に感じていますので、モチベーションの源泉のない状態で従来のパフォーマンスを発揮できるかも不安です。


以下、乱文ご容赦下さい。


大人とは、他者からの承認欲求を持たずに、他人への過度な期待、依存をせず、他者との課題を分離して自分の行いを自分で決めることができ、自己中心性を排除した状態のことと拝見しました。


承認欲求を持たず、他人への過度な期待依存をせずあたりまでは、ある程度理解できているつもりです。

 

特定個人からの承認でなくもっと広い世の中や社会からの承認を目指すべきなどの解説で、会社での上司や部下との関係性でなら切実ではあるにしろ咀嚼もできました。


ただ、その特定個人が家族や友人ホントに理解して欲しい近しい人だったら...。日常の大半を働いている場合、日常がわからないとホントに必要としている時に助けることも、声をかけることすらできません。ただ見守っているのがいいことなのかさえもわかりません。

 

逆に仕事しか取り柄がなかったら、がんばってる姿やその貢献をホントの意味で伝えることも理解してもらうことも容易ではないでしょう。


自己決定や自己中心性の排除は完璧ではないにしろ常に努力しています。


これって結局は他人依存している大人になりきれないオトナってことなのでしょうか。


現実にはないのかもしれませんが、仮に大人の定義が全てクリアできたとしたら、やはり承認して欲しい人に承認してもらいたいと言うのが正直な気持ちです。


ご査収の程宜しくお願い申し上げます。


A. 回答

アドラー心理学サロンです。


休暇中に当アドラー心理学サロンに夢中になって頂き、誠にありがとうございます。


本当に身に余る光栄です。


あなたのように向上心を持ち、冷静に自己分析して、主体的に行動できる方ならすぐにアドラー心理学の考え方を取り入れて次のステップに行けると思います。


アドラー心理学の観点からの回答と、私個人の客観的意見を別々に下記にて記載させて頂きます。


アドラー心理学の観点からの回答

アドラー心理学の代表的な考え方である「承認欲求の否定」についてですが、たしかにアドラーは承認欲求を持ち、承認欲求を満たそうという目的だけの為に努力することを厳しく批判しております。


それが何故なのかと言いますと、アドラーは承認欲求を満たす目的の為に努力をしていれば、自分の本来の「やりたいこと」を追求することができなくなり、他者の求める「わたし」を演じて、本来の自分の生き方ができなくなると幸福からは遠ざかるという意図となります。


このアドラー心理学の「承認欲求の否定」は、世間では頻繁に物議を醸してしまうことがあり、自分の欲求に従っていたら単なる自分勝手な生き方になってしまうではないか?という意見を相次いで受けております。


ここで、アドラー心理学のもう一つの代表的な考え方である「課題の分離」と「他者貢献」の考え方の解釈が必要となります。


この「課題の分離」は、他人が自分をどう思うのかはその人の課題であり、そこには介入することができないという考え方です。


つまり、他人が何をどう思っても、それはその人の課題であり、自分にできることは自分の長所をアピールしてみたり、誤解を解く為に説明してみたりくらいであり、本質的に他人のことは変えられないとする考え方です。


その逆もあり、自分が何をどう思うのか、何をしたいと思うのかは自分の課題であり、他人には介入させてはならないということでもあります。


こちらの「課題の分離」も自分勝手と誤解されることもありますが、所謂、割り切って自分の課題と他人の課題を区別して、自分の人生を生きましょうということです。


また、アドラー心理学は「他者貢献」も同時に強く推奨しております。


常に、周りの人達を喜ばせるように努めて生きましょうという考え方であり、アドラー心理学で定義された幸せな人生を生きる為の「人生のタスク」の一つです。


前置きが長くなりましたが、まとめますとアドラーはこの「他者貢献」を行うのに自己犠牲が伴ってはいけないとしております。


この自己犠牲というのは、マナーなどを除いて自分を押し殺して他人に尽くすことを表します。


なので、アドラー心理学の「承認欲求の否定」も「課題の分離」も、決して自分勝手なものではなく、自分は世界の中心ではなく、人生の主役なのだという自己本位の考え方となります。


ご自身の中での「自己中心性」を、他者との課題を分離した「自分本位」という意味合いにすり替えれば、「自己決定」と「自己中心性」の排除に役立つことかと思われます。


私個人の客観的意見


私はアドラー心理学サロンにて、アドラー心理学の考え方をご紹介し、皆さんのお悩みの解決の援助活動を行っております。


しかし、私はアドラー絶対主義者では無いのです。


もちろん、アドラー心理学の考え方は集団の和を重んじる日本人社会において、多くの人が抱えているであろう自我を確立できない悩み等を解決する手がかりになる、また、アドラー心理学は人生哲学の最高傑作とも称されるほど、多くの自己啓発本にも採用されており、自分も救われた経験があって広めてはおりますが。


アドラーの考え方は個人主義風潮のある西洋の考え方が強いこと、また高度情報化社会の現代においては一部、完全に取り込むことが困難な考え方もあると思っています。


ご相談者様も、どうしても理解して欲しい人や身近な人にはつい、承認して欲しいと感じて期待してしまうこともあるとのことですが、人間なので仕方ないと私は思います。


ただ、期待通りの反応をしてくれないからと、過剰に落ち込んだり、相手を恨んで復讐してしまったりはせず、「仕方ない」と割り切れるようになることはとても大切だと思います。


アドラー心理学の観点ではたしかに承認欲求を持つ時点で「自立していない」と考える節はありますが、ある程度は期待してもそれだけで「大人になれていない」とは言えないと考えております。


仕事にこれまで通り熱中するには、仕事に対して新しい価値を見出す、または仕事をする目的をご自身の個人的なものに切り替えられるようにしていく必要がありそうですね。


一つの例え(巷でよくある話で恐縮ですが)としては、ご自身の独立の為にスキルを付けるであったり、自分の行きたい部署に行ってやってみたい仕事をやる為に努力するという考え方も良いかもしれません。


私の勝手な意見も述べてしまい申し訳ありません。


私の回答が、お悩み解決の一助となれば大変幸甚です。

 

Q.2 回答へのご返信

早速のご回答ありがとうございました。
大変わかりやすく丁寧にご回答いただき本当に感謝致しております。


なるほどと思うことばかりで、自身の現実と照らしあわせながら拝読させていただきました。
理解に苦しんでいた課題の分離についても、少しは理解が深まった気がします。


以下、ご教示いただいた内容を流用させていただき今の自身の状態と直結しそうな箇所を整理してみました。


「課題の分離」とは、割り切って自分の課題と他人の課題を区別して、自分の人生を生きましょうということ。

「他者貢献」は常に、周りの人達を喜ばせるように努めて生きましょうという考え方。
しかし、行うのに自己犠牲が伴ってはいけない。

自己犠牲とは、マナーなどを除いて自分を押し殺して他人に尽くすこと。

「承認欲求の否定」も「課題の分離」も、決して自分勝手なものではなく、自分は世界の中心ではなく、人生の主役なのだという自己本位の考え方。
これは、人生の主役ではあるが世界の中心ではないという風に解釈し不思議としっくりきました。


又、”仕方ない”というお言葉には、過去経験した様々なことを思い起こさせていただきました。
月並みですが、自分自身が再び感謝の気持ちと謙虚さを見失い慢心が芽生えていたように思えました。
その慢心が前に進むことを阻害していたようです。制御してきたつもりだったのですが…。

新たな目的は正直まだ見えていませんが、restartのつもりで今と向き合ってみようと思います。


ありがとうございました。

 

A.2【相談をお受けした所感】

今回のご相談者様は、とても冷静に現状の状況を、自分の状態と合わせて事実ベースでご認識されておりました。

 

こうした分析力は、抱えられている問題の大小や個々人の性格、思考力などにもよって大きく変わりますが、こちらのご相談者様のように分析ができれば人生の諸問題のお悩みの解決をスムーズに行うことができると思います。

 

良い一例として皆さまのご参考になれることでしょう。

 

私から、こちらのご質問者様に返信した内容は下記です。

 

---返信内容---

アドラー心理学サロンです。

とんでもないことでございます。


人生は白黒はっきりと区別できることはあまりなく、グレーなどの様々なグラデーションで成り立っていると思います。


白黒はっきりと決着が付くこと自体がありえないものとして、自分の中でどのように折り合いにつけて「仕方ない」という割り切りができるのかが上手く生きるのには大切な考え方ではないかと考えております。


そこまで自己分析ができていらっしゃるとは…脱帽です。


ご質問者様なら必ず最高のrestartができると思います。


是非、頑張ってください。


今後ともよろしくお願い致します。

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