アドラー心理学サロンです。
メールにてご相談頂いた内容を事例として質問と回答のセットでご紹介致します。
ご友人から過剰な干渉を受けて、辟易して距離を取ろうにも、今度はそのご友人が荒れ果ててしまって罪悪感とどう対処すれば良いのか分からなくなってしまっているとのご相談です。
こちらも、下記にてアドラー心理学を活用した考え方で解決の道をご提示させていただきました。
個人情報に関しましては、ぼかしを入れますが、皆様のお悩みの解決の一助となれれば幸いです。
※個人情報の保護の観点から、回答文に失礼な表現が含まれますが、実際の言葉遣いとは異なります。
Q1. ご相談
黒羽ひみと
・年齢(年代でも可)
10代
・性別
女性
・職業
学生
・今後どうありたいのか
自分のことは自分で決めて、自分のしたいことをしたい。自立と向上を目標にしています。
・ご相談内容
友達に干渉されています。
悪意は無く、むしろ好意なんだと思います。心配性気味で、こちらの顔色を伺い過ぎるところがあります。
それで要らぬ気遣いや、こちらの問題に深入り(怒ってたり悲しんでると原因の詮索を)して来ることがあり、余計にストレスになってしまいます。
深入りされないよう距離を置く(気分が良いときにだけ会話等をする)と相手は気付くのかもっと干渉(行動を把握してきたり)します。
私に泣かれたくない、不快な思いをさせたくないと言います。前にも「良い子だから傷付けたくない」と気を遣われた経験があります。
大事に扱われて、万が一で私が傷付くと自己嫌悪に走ったり、荒れたりします。私の周りで、私の問題で周りが勝手に荒れているのが、不思議でたまりません。
私はそこまで駄目な人なのかと自尊心も失われていく気がします。易々と相談も出来なければ、感情を表に出すことも苦痛になってきます。
・問題だと思う点
何が問題なのか、何をどう改善したら良いのかもう分かりません……他人は自分を映す鏡という言葉を聞いて、自分も気を遣ってるのではと思いましたがそれも分からなくなってきました。私はしたいことをしていると自分では思っています。
A. 回答
アドラー心理学サロンです。
友達に干渉され過ぎてしまい、辛くなって距離を取ろうにもその友達がおかしくなってしまったりと、どうすれば良いのか分からない状態とのこと、とてもお辛そうですね…
まずは、現在の状況を整理して、そのお友達の干渉の動機や目的を考えてみましょう。
そのお友達はあなたに「依存」している状態だと思われます。ここで言う「依存」とは、あなたに執着しているという意味になり、頼ったり期待している状態の「依存」とは一線を画します。
アドラー心理学の考え方では、世話焼きな人は優しいとは限らず、相手を自分に依存させて、「自分の存在価値は高いんだ!」と自分に言い聞かせていたり、またはその実感を高める為に、自分を重要な人物だとアピールしているだけであることもあります。
そのお友達は、正にこのパターンに当てはまると思われます。何故かと言いますと、あなたが自分の思い通りにならなくなると、荒れて周りに迷惑をかけているあたり、あなたを使って自分の存在を認識して自我を確立させていたのにも関わらず、あなたが思い通りにならないからと自分の支柱を失って荒れているのだと思われます。
こうしてあなたを気遣い、優しくして依存させようとしている背景には、根強い劣等感があります。
アドラーは、「人間であるということは、劣等感を持つことである」という言葉を残しており、アドラー心理学ではこの劣等感をどのように扱うのか、どのように克服していくのかに主眼を置いています。
自分の劣等感をごまかして、自分の優越性を認識したり、周囲にアピールする為に、人の悪口を言ったり、見下したりすることはよくあります。
惨めな自分を慰めて、自分をまやかしの中だけで価値の高い人間だと思い込んでの現実逃避的な自傷行為ですね。
こうしたことを繰り返して、結局周りにも似たような人間が集まり、健全な努力をしていく勇気を年を経るごとに失っていき、抜け出せなくなることでしょう。
しかし、人を見下したり、人の悪口や陰口を言うだけの単純な方法ではなく、特にプライドが高く、人に執着するタイプの人は、複雑でいて高等なテクニックを用いて自分の劣等感をごまかそうとします。
そのお友達のパターンは特にこの高等テクニックに当てはまります。前述の通り、世話を焼いては親切そうに見せかけて、「私がいないと、あなたは何もできないんだよ」と自分の重要性を自分やあなたにアピールしているだけだと思われます。
他にも、アドラー心理学では劣等感をごまかす高等テクニックとして、自分を責め立てて悲劇のヒロインのように泣いて暴れたり、自分や他人を傷付けるなどの問題行動を取っては他人の関心を集めるということもあり、そのお友達のあなたが思い通りにならないからと荒れ狂う様子もこちらに当てはまります。
「他人は自分を映し出す鏡」という言葉はよく聞く言葉ですが、どんな名言でも全ての状況に当てはまるとは限りません。
確かに、あなたが他人をどう扱うのかを見て、他人はあなたをどう扱うのかを決めるといった傾向はあり、類は友を呼ぶようなところもありますが、世の中は本当に様々な人間がいます。
人間はそんなに悪い生き物ではありませんが、どうしても関わってはいけないような人間も一定数は存在します。
その方とは、自分を守る為にもしっかりと距離を取りましょう。
アドラー心理学には、「課題の分離」という、他人がどう思い、何をするのかは他人の課題であり、本質的に他人のことは変えられないとした考え方があります。
確かに、変わってもらえるように諭したりすることはできますが、変わるか変わらないのかはその人の課題なのです。
出来るだけ、相手に寄り添って理解し合ったり認め合うことは非常に大切ですが、あなたが限界なら仕方ありません。
その友達が荒れて周りに迷惑をかけていても、それはあなたの課題ではなく、その人友達の課題であり、あなたが責任を感じたり、悪いことしたな…と思う必要はありません。
それとなく距離を取ろうとしても、それがはっきり分からない人ならば、言葉で「あなたの~なところが苦手だし、わたしは自分のやることがあるの、あまり干渉しないで」と伝えるのも一つです。
お悩みの解決のお力になれましたら幸いです。