アドラー心理学サロンです。
メールにてご相談頂いた内容を事例として質問と回答のセットでご紹介致します。
個人情報に関しましては、ぼかしを入れております。
今回は、恋人でもあり、仕事仲間でもある彼氏に仕事上で意見を伝えたいが、過干渉にならないか心配で自分にも被害が及んで来てしまっているとのお悩みのご相談です。
アドラー心理学を切り口に、どんな気持ちを持ち、どうしていくのかアドバイスさせて頂きました。
皆様のお悩みの解決の一助となれれば幸いです。
Q1. ご相談
はじめまして。
Twitterとblogを拝見して、
いつも丁寧でわかりやすく、ためになるご回答を、楽しみに拝見しております。
お忙しいと思うのですが、ご覧いただけましたら幸いです。
【ご相談フォーム】
・年齢
30代
・性別
女性
・職業
自営業
・今後どうありたいのか
彼、彼の店のスタッフの関係が改善されてほしい
板挟みから離れたい
・ご相談内容
恋人は自営業で店舗を経営しております。
(わたしとは他業種です)
数年前に、とても非常識な退職の仕方をしたスタッフがおり、
退職後も店の経営方針に口を出したり、つい最近には身内をコネ入社させたりと
現在働いているスタッフたちも振り回されており、疲弊しておりますし、客足にも影響が出始めております。
まわりからみれば、元スタッフに取り入られ、良いように金づるにされているだけに見えており
現スタッフからも、業務への口出しやコネ入社には苦情がでているようで
わたしへも現スタッフより相談がありました。
彼と現スタッフとの板挟みから離れるだけであれば、話を聞くのをやめ、遠ざかればよいことと思いますが、
元スタッフにはわたしも時折嫌な思いをさせられることがあり、
元スタッフと彼の関係を切り離してほしいと思っています
・問題だと思う点
彼が非常識なスタッフを非常に好意的に思っていること
そのことがスタッフたちから彼への不信感を増大させる原因になっていることをとても問題だと思っていますが
彼と元スタッフを離れさせたい、というのはこちらの過干渉だと思います。
しかしながら、自身が巻き込まれ嫌な思いをすることもたびたびあったり
元スタッフのことが彼との今後の関係性にも悪影響を及ぼしそうなため
どのように気持ちをもっていればよいのか、どのように振る舞うべきか悩んでいます。
どうぞよろしくお願いいたします
A. 回答
アドラー心理学サロンです。
ご相談ありがとうございます。
誰かの行動、言動によって自分が迷惑しているのなら、他人のやっていることに意見を述べたりすることは過干渉ではなく当然のことです。
あなたと彼は仕事上でも、関係があるようですね。恋人でもあり、仕事仲間の一面もあると距離感が複雑になりそうですが、やり取りごとに関係性を割り切る考え方は大切です。
アドラー心理学の考え方の一つである、課題の分離では、他人がどう思い、何をするのかは他人の課題であり、自分の課題ではないので他人の課題に介入して他人を変えさせることはできないとアドラーは提唱しました。
しかし、多くの人たちはここまではアドラー心理学の課題の分離を理解しているものの、他人の課題に介入してもいけなければ、自分の課題に他者を介入させてもいけないのです。
自分が迷惑していて、困っているのならそれを止めさせるように相手に意見したりと何らかの行動を取る必要があります。
アドラー心理学の課題の分離で考える他者と自分の課題の違いの区別方法は、その課題の最終的な責任を取るのは誰なのか?という観点で考えるのが1番簡単な区別方法です。
今回の場合だと、他人の課題ではあるものの、自分の課題に影響が及ぶシチュエーションだと思われますので、自分自身の課題をこなす為に必要ならば、他人に意見をして自分の課題に害の無いように取り計らうことも自分の人生を生きる上で大切です。
あなたの思いの丈、何に困っており、どうして欲しいのかを伝えてあげて一緒に対策を練って対処していくのは如何でしょうか?
あなたがその彼の見えていない問題が見えているのであれば、それは教えてあげた方が良いと思われます。
アドラー心理学には、他者貢献をすることが、自分自身の幸福な人生につながるという考え方がありますが、貢献はあくまでも自己満足であるべきであり、あなたの負担にならない程度にしましょう。
他者への貢献に、自己犠牲や自分の承認欲求を持ち込んでしまうと、あなたが消耗するだけの状態になりかねません。
現在のお店の体制での潜在的な問題点、顕在化している問題点についてご自身の意見を聞かせてあげないと、むしろそのままでは問題が大きくなり、ビジネスとしても、彼との関係にしても亀裂が入って一大事になる可能性が考えられます。
個人としての彼より、彼の責任者としての課題を全うする援助を中心にしてあげた方が良いのだと思います。
持つべき気持ちとしましては、過干渉だと思われるかもしれませんが、できる援助はやってあげようという思いが大切であり、振る舞い方も、自発的に職場みんなの力になれるように、人間関係、業務上のトラブルに自分のできることをやってあげようとすることが大切かと思われます。
もちろん、あなたが限界であれば無理はせずに職場から離れて、外から彼にできる援助をするのでも良いと思います。
あなたは彼の為に生きているのではなく、自分の為に生きております。あなたが限界では意味はありませんし、恋愛に限らず、どちらかが自己犠牲をして献身的に相手に尽くしてしまう依存のような持たれ合いの要素があると、自由に振る舞うことのできない不自由な恋になってしまいます。
【ご相談者様からのご返信】
こんにちは、早々のお返事をありがとうございました。
彼の店舗のスタッフ数名から苦情を聞いたばかりの、自分自身も困惑した状態で
たどたどしい文章をお送りしてしまったのに
とても丁寧で親身なご回答をいただきましたこと、嬉しく思います。
ご想像の通り、彼とわたしはお互いが提携業者で
お互いの店舗への行き来も多いので、
彼のお店のスタッフには交際関係のことは伝えていませんが
スタッフたちと仲良くしております。
ご提案してくださったとおり、問題点
・コネ入社や、経営方針への口出しを許すなど、「やめてしまったスタッフを今いるスタッフ以上に優先している(ように見える)」ことで
スタッフの意欲が著しく低下していること
・元スタッフとわたしのあいだにもトラブルがあったこと
を伝えたうえで、
彼と元スタッフの個人的な関係性はさておき、わたしやお店の中に元スタッフを巻き込むのはやめてほしいと言おうと思います。
言葉の表現や、伝えるタイミングなど、熟慮する必要があると思いますが
「できることをする・見返りを求めない」を前提に、うまく伝えられるよう努力したいと思います。
おかげさまで、「過干渉すぎるのではないか」「彼と元スタッフの関係性についていやな気分になる」のせめぎあいから
うまく自分の気持ちをもちなおせそうです。
ありがとうございました。