アドラー心理学サロンです。
あなたは自分のことは棚に上げて、他人のあら探しばかりしては陰口や悪口、嫌がらせに精を出している人間と出会ったことはありませんか?
こうした人達が持つ、見えやすい共通点は、強烈な劣等感を感じているということと、劣等感を克服する勇気が無いという2点です。
心理学者アドラーは、「人間であるということは劣等感を持つということである」という言葉を残しております。
つまり、アドラーは劣等感は人間に常に付きまとい、程度の大小はあれど人は劣等感から逃れることはできないとしています。
それは、人間の持つ今よりも良い状態でありたいという向上心にも似た欲求である「優越性の追求」という性質を持つからです。
学校でも職場でも、いじめやパワハラが横行する背景には、人間の持つ劣等感が根源的な原因なのです。
人が劣等感を無くすことができないとなれば、劣等感との付き合い方を覚える必要があります。
それには、上述の劣等感を克服する勇気が肝になります。
アドラーは、この世界には客観的な事実は存在しておらず、全てが主観的な解釈の延長にあるとしています。
世の中を見渡せば、世間的には高い地位を持ち、経済的にも恵まれた「勝ち組」と呼ばれる人達が犯罪に手を染めてしまう事件が後を絶ちません。
それは、勇気を持って劣等感を克服して行き、人が羨むようなものを持っているように見える人であっても、何らかの原因で劣等感を克服する勇気が挫かれてしまい、不健全な方法で自分の劣等感を満たそうとした結果なのです。
要するに、「勇気」があるのか無いのかで、劣等感の捉え方と扱い方を変えて、その人がどんな人生を送るのかを決めます。
自分の劣等感を克服する為の勇気を失った状態を、アドラーは「勇気が挫かれている」としています。
勇気が挫かれだ人間は、健全で前向きに自分を高める努力をするよりも、より安易に他人を傷付けたり、見下したりして偽りの優越感に浸ろうとします。
こうした不健全な努力による劣等感の克服方法を「安置な優越性の追求」であるとアドラーは呼びました。
こうした人達は、他人に寄生して、自分の憂さ晴らしの為だけに扱います。
つまり、他人の悪い所ばかりに目が行く人は、劣等コンプレックスが強い他人任せの甘えん坊であるとも言えます。
自主的に行動を起こして前に進もうとせずに、他人を叩く為の材料を探して前に進めない自分を肯定しようとしているのです。
この状態は、劣等感をこじらせて劣等コンプレックスになっていると考えられます。
ここで、コンプレックスと劣等コンプレックスの違いについて確認しておきましょう。
コンプレックスというのは、劣等感と同じ意味だと捉えられていますが、心理学的には少々異なります。
コンプレックスとは、フロイトの精神分析学で定義されている、強い感情やこだわりを持ち、普段は無意識に抑圧されていて時に強い感情を引き起こす観念のことです。
劣等コンプレックスとは「勇気が挫かれた状態」を表しており、劣等感が原因で自分を大きく見せようとしたり、失敗して傷つくことを怖れる心のわだかまりのことです。
目的論のスタンスである、アドラー心理学的に考えると劣等コンプレックスとは「言い訳作り」に近い概念となります。
「できる」か「できない」かを判断する際に、「失敗して傷付きたくない」という目的を達成する為に「できない」という選択していると考えます。
前提として「目的」があり、それに対する言い訳をしているというイメージです。
アドラーは「すべての悩みは対人関係から生じる」としており、「広大な宇宙空間に一人でいれば、悩み事なんて生じるはずがない」と考えております。
つまり、劣等コンプレックスになっている人は他人のあら探しをして、他人を下に見てどうにもならない可哀想な自分を慰めているだけの存在なのです。
こうした人達に遭遇したら、分かり合おうとか根性を叩き直してやろうなんて一切考えずに、いかに関わらないで済むのかを考えて距離を取りましょう。
劣等コンプレックスになっている人達は、どこかで改心する可能性はありますが、あなたから働きかけてまで、かまってあげる必要はありません。
アドラーの課題の分離を応用すれば、他人のあり方はその人が決める課題であり、あなたの課題ではないということになります。
他人のことを変えようとすることは、他人の課題への介入となります。他人に自分の考え方を変えようとされたら、あなただって拒否をするはずです。
それくらい、他人を変えることは難しく、変わる可能性はあっても振り回されるだけの結果になることがほとんどなのです。
劣等コンプレックスの人達は、他人に執着していて、依存心の強い人達であり、他人との相対的な立ち位置でしか自分の存在を確認できないのです。
この状態になっては、幸せはどんどん遠ざかってしまいます。
自分の中で幸せの基準を持ち、他人との近くの中で自分が「上」なのか「下」なのかを競い合うのではなく、「過去の自分」か「理想の自分」と「今の自分」を「前」に進めているのかで比較しましょう。
他人との比較競争にたとえ勝てても、自分で自分を認めてあげることができないのでは幸せにはなれません。
もし、あなたが劣等コンプレックスになってしまっているのなら、今すぐにでも他人のあら探しなんてやめて、自分を高める努力を始めましょう。
たとえば、嫌なことを言ってくる人がいたりと、自分に不都合のある人がいたとしたならば、「やめて下さい」と伝えるなり、その場から離れる為に努力しましょう。
職場ならばより自分の希望が叶えられる会社への転職をする為にスキルアップをしたり、自分の立場を守る為に仕事で成果を出す努力をすればいいのです。
自分からやれることがあるのに、他人に目を向けるのは情けないことです。
ただ、こうして私の記事を読んでいるあなたは、前を向こうとする努力のできる人です。
あなたが劣等コンプレックスに今はまみれていても、劣等感を克服する勇気を取り戻そうと行動できるあなたなら大丈夫です!
一歩ずつでも、前に進みましょう。