アドラー心理学サロンです。
メールにてご相談頂いた内容を、お悩み事例として質問と回答のセットでご紹介致します。
個人情報に関しましては、一部にぼかしを入れて細心の注意を払っています。
今回のご相談は児童福祉施設で働かれている方から、職員や他の子供に危害を加える問題児に何がしてあげられるのか知りたいとのお悩みです。
アドラー心理学の観点から、素行不良や非行に走る子供への接し方について、一般的な心理学の考え方を混じえて解説させて頂きました。
あなたの悩みの解決にも、本記事が少しでも役立てましたら幸甚です。
Q1. ご相談
今年に入り『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』を読み、アドラー心理学に興味を持ちはじめました、初心者です。
アドバイスを頂けたらと思い、メールさせて頂きました。
私は児童福祉施設で働いています。
職場の子ども(高校1年生男児)のことで、悩んでいます。
その子は施設内では、職員に対しても他の利用者(子ども)に対しても、自分の敵だとみなすと、揚げ足取り、批判、暴言、威圧、などで攻撃します。口が立つので、もっともらしい言いがかりをつけて人を批判し、自分への注意は「そんなお前のいうことなど聞かない」という態度です。
優しい面もあり、友だち思いな面もあるのですが。生育歴を見れば、自信のなさ、自己肯定感の低さなど抱えているものは多いのですが。
一方で、施設の外(学校や、友人関係)ではうまくやっているようです。
アドラー心理学の考え方としては、そういう人とは距離を置くように、となると思うのですが、立場上、向き合わなければいけないことが多々あります。
他の子どもへの威圧、職員を侮辱する言動など、指摘・注意しなければいけません。 普段から、職員も波をたてないように、ご機嫌を伺いながら接してしまいます。
この子の将来が心配です。
また、職員も対応に悩んでいます。
人を変えることは難しいと思いつつ、アドラー心理学の考え方として、この子への対応で、何かアドバイスを頂けたら幸いです。
また、自分の子どもがこうなったら嫌だなと思います。
子育てで、意識するべきことは何でしょうか?
突然の相談で申し訳ありません。
よろしくお願い致します。
A1. 回答
何らかの障害を持っていたりする場合や、教育をして育てる義務があるのなら「他人の課題だから放っておく」というのは職務怠慢になってしまうのではないでしょうか?
言い方が悪くて申し訳ありませんが、良く勘違いされる方がおりますので再度解説しますと、マナーを守らせたり、やるべきことをやらせたり、やれる環境を整えてあげることは親や保護者の義務であって本人の課題として割り切る部分ではありません。
線引きが難しいところもあるので、その辺りは柔軟にケースバイケースでの対応が必要となりますが、本人が自分の人生を豊かにしていくことを手助けして、それに対する疑問や反抗に向き合うのが保護者や監督者の仕事だと思います。
職員達が様子を伺って、その子のご機嫌取りをしてやり過ごしているのではあれば、そんな不誠実で事なかれ主義な場当たり的なことをしては、目の前の子供が苦しんでいるのに真剣に取り合おうとする人がいないその環境に問題がありますね。
自分の子供がこんな風になったら嫌だとのことですが、あなたの立場や役割、実際の現場を見た訳ではありませんが、その考え方はよろしくないかと…
自分が子供を育てるのなら寂しい思いはさせず、スクスクと育って欲しいと願うのなら分かりますが、あなたの嫌がるその問題児は苦しんでいるのではないのですか?
何かしてあげられるのかというと、積極的にコミュニケーションを取って信頼関係を築いていくことです。
本人の口から悩みを聞けるようになることをまずは考えることですね。
勝手な憶測で、本人の悩みや問題を決め付けることだけは絶対に避けて、その子自身としっかりと向き合って、世界にたった1人しかいないその子を認めてあげることです。
人間らしく、温かみや情熱、誠意のある対応で粘り強く接していくしかありません。
どうにもならなければ仕方ありませんが、やれるだけやり切るしかありません。
悩みを聞き出せるまでに至ってからでないと、何を言っても馬の耳に念仏です。
正解はありませんが、信頼関係を築くことがカウンセラーであったりと人の心と向き合う仕事をする上での最初の関門です。
最初から何でも話してくれたり、聞き入れてくれる相手ばかりではありませんし、信頼関係を作り上げることが職業柄、腕の見せ所でもあるかと。
お話を伺う限り、その子は周囲の大人に親身になって相手をしてもらったことがなく、施設の外では上手くやっているということを考えると、内弁慶になって憂さ晴らしをしてしまっているようですね。
本当はもっと自分を知ってもらいたくて、構って欲しいのだと思いますし、本音を言える人がいないことからどうすればいいのか本人にも分からずに感情をぶつけてしまっているようですね…
説教のようなお話になってしまい大変申し訳ありません。
ご自身の子育てにおいても、信頼関係を築けるように真摯に対応すれば、施設の問題児のようにはなることはあまりないかと。