あなたもこれまで、人付き合いが苦手だと感じたり、どうしても人間関係が上手くいかないと悩んだがあるでしょう。
人は目的に沿って自分のあり方を自分で決めて、目的によって自分の行動を決定しているとアドラー心理学では考えます。
人付き合いが苦手だと感じてしまったり、人間関係を築くことに恐怖を感じる最大の原因は、アドラー心理学での解釈では「対人関係の中で自分を傷つけたくない」という目的を達成するための自己保身な考え方であり、行動であるとしております。
一部の人達にとっては、人間関係に対するこの考え方は根性論のように聞こえてしまうようですが、真意を突いてはおります。
単純に片付けれられる話ではありませんが、人間関係で傷つくことが無く、嫌な経験がもしあなたに無かったら、人付き合いに苦手意識を持ったり、人間関係を避けようとする必要性すらないはずです。
しかしながら、アドラー心理学に限らず、人は何かしらの繋がりを他人と持つことによって、相互に良くも悪くも影響しながら人生を生きていく社会的動物であり、人が苦手だからとって避け続けていても話は進みません。
あなたは人間嫌いではない!
人付き合いがダメな人は、その中でどうやって生きていくのかを考える為にも、人との関わりの中で何が苦手で、何が嫌なのかをしっかり分析して対策を考える必要があります。
人間関係に悩んだり、人付き合いが上手くできないと悩んでいる時点で、あなたは人間を嫌がっていたり、人間関係自体を毛嫌いしているのではなく、上手くやっていきたいのに答えが見つからない状態であることは明白です。
もし、あなたが人間そのものが嫌いで、人と一切の交流を持ちたいと思っているのなら、答えは明白で無人島に移住するなり、山奥で一人でやれる仕事を見つけようとしたりと、既に迷いはないはずだからです。
つまり、人付き合いに悩むあなたには、良好な人間関係を築きたいのに上手くいかない、社会(他人)との繋がりも持っていたいという気持ちがあるのです。
いきなり原因を特定して対策を考えろと言われても、どこから始めればいいのかも分からず、今の辛さは収まりません。
そこで、重要なのが距離感のつかみ方です。
人間関係の悩みは”距離感”にある
対人コミュニケーションの悩みとしてもっとも多いのが、人との距離感のつかみ方です。
人は会話や行動を主にすることでコミュニケーションを取りながら共存しています。
時には意見がぶつかり合うことや、険悪な状況に陥ってしまうことは健全な関係を保つ為に避けることはできません。
人は相手と関わることで傷つきたくないと思っており、その一方で関係を深めたいという思いを併せ持っているのです。
傷つきたくないから思っていることは口にせず、衝突を避ける。だけどもっと相手のことを知りたいし、自分のことも知ってもらいたい。SNSやメールといったデジタルなコミュニケーションツールが次々に登場し、面と向かって人と接する機会が大幅に減少しているからこそ、そんな矛盾した心理に現代人は苦しめられているのです。
人はお互いに傷付け合うことで絆を深める
誰かに傷付けられるとか、誰かを傷付けるとか、そんなことを気にしていたら今の世の中生きていけません。
人は生きている限り必ず誰かを傷付けていますし、傷付けられてしまうものです。
傷付けてしまったら全力でフォローして、傷付けられてしまったら自分も同じようなものだとさっさと割り切ってしまった方がいいのです。
傷付くかどうかは極論で言うと自分の勝手ですし、自分で決める自分の課題です。相手が傷付ける意図があったのかどうかは関係ありません。
そう聞くと、傷付いたのはお前の勝手だと自分勝手な理屈でエスカレートする人がいそうですが、そんな人とは関わるべきですらありません。
傷付くかどうかは自分で決められる自分の課題ですし、他人に自分の課題への介入を許すことはありません。
良好な人間関係を築く為に必要な一種の成長痛だと思って、意見をぶつけ合って折り合い地点を見つける努力をするべきです。
ヤマアラシ・ジレンマ
ドイツの哲学者ショーペン・ハウエルの寓話をご紹介いたします。
実際に提唱したのはオーストリアの精神分析学者フロイトですが。
ある寒い日に寄り添いあって暖をとろうとした2匹のヤマアラシは近づきすぎてお互いのトゲで傷つけ合ってしまいました。しかし、離れたところで寒くなるとまと寄り添い合いお互いのトゲで傷つけ合う。何度も繰り返しながらようやく2匹は適度な距離感を見つけました。
人との衝突を避け続けていると、コミュニケーション不全となってやがて大きな対立を生じてしまいます。小さな衝突が、大きな対立になってしまうのです。
お互いをより深く理解しようとする為には、意見の食い違いや衝突は然るべき現象なので、ある程度は割り切りが必要です。
人間関係でヤマアラシ・ジレンマに陥って適切な距離が分からずにお互いにトゲを避け合っているような状態になっているのであれば、思い切って相手の懐に飛び込んでみるのはとても効果的です。
多少なり痛みを伴いますが、怖がって何もしないでいて大きな対立を生んでしまったり、そのまま人間関係への恐怖心を強めて一生悩み続けるよりははるかに良いでしょう。