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青汁王子こと三崎優太氏の著書「過去は変えられる」書評

2019年3月、株式会社メディアハーツ(現ファビウス)代表取締役社長の三崎優太さんは脱税の疑いで逮捕されました。

 

20代の3年間で年商130億円企業を作り上げて、メディアからも「青汁王子」と呼ばれて脚光を浴びていた矢先でとんでもない事件が起きたものです。

 

青汁王子に明確な悪意があっての脱税事件ではありませんので、ここでは事件として表現させて頂きます。

 

そんな三崎優太さんが2020年10月に書籍「過去は変えられる」を出版されましたので、書評として本記事を執筆します。

 

「過去は変えられる」には、三崎優太さんの不遇な少年時代から成功、逮捕から再び立ち上がるまでのストーリーが描かれています。

 

人生にはピンチは必ず訪れるものですが、逆境をどう乗り越えられるのか模索しているあなたにはぴったりの著作であると思います。

 

「過去は変えられる」は、5章立てで構成されております。

各章ごとにポイントを心理学的に考察していきたいと思います。

 

 

第1章 青汁劇場〜栄光から転落へ〜

第1章では三崎優太さんが18歳の時に企業した会社が美容通販事業を始めて「すっきりフルーツ青汁」でヒットして、年商130億円企業に成長して大成功をしてからの優雅な生活と、その時の心境が語られています。お金や名誉、高級品、華やかな交友関係といった世の中の多くの人達が憧れてやまないものをすべて手に入れた優雅な生活から、国税局に逮捕されてどん底に落ちるまでのエピソードも書かれています。

 

逮捕されてからはまるで全日本国民から「税金を払わないで卑怯な手で金儲けをした極悪人」のような扱いを受けてしまい、メディアで身に覚えのない話で叩かれるどころか、SNSを通じて殺害予告のメッセージが頻繁に送られてきたりと精神的にも肉体的にも限界を迎えていたことでしょう。これまでの交友関係やビジネスでのお付き合いも、手のひらを返したようにみんな離れて行ったそうです。

 

逮捕されてからは、会社の社会的な信用を失墜させる訳にはいかないので、18歳から29歳まで経営していた株式会社メディアハーツ(現ファビウス)代表取締役社長を辞任されました。

 

それから三崎優太さんは、「青汁劇場」と呼ばれる出来事を通じて世の中にご自身への注目を向けさせました。

「青汁劇場」とは、三崎優太さんが逮捕されて社長を退任されてから繰り広げられた下記のような出来事です。

 

・焼き鳥屋でのアルバイト

・彼女との出会い〜フラれるまで

・勃起不全

・歌舞伎町ホストデビュー

 

ホストデビューしてからは歌舞伎町の歴代記録を1週間で作るなど、ホストとしても大活躍されました(笑)。

「青汁劇場」に関してはあなたも一度はTwitterInstagramで見たことがあるのではないでしょうか?

ものすごくバズっていましたので、SNSを使用している人なら直接見たことがなくても学校や会社等で噂になっていたことでしょう。

 

「青汁劇場」を繰り広げていた時の三崎優太さんの心境や思いが赤裸々に綴られております。

 

第2章 「青汁王子」と呼ばれて

第2章では生い立ちから起業家として成功するまでのストーリーとなります。

三崎優太さんは北海道の札幌で誕生し、幼年に北見市という田舎町に引っ越しました。

両親の仲も良いものではなく、幼い頃から少年時代までは「変わり者」、「落ちこぼれ」のレッテルを貼り続けられ、いつも誰かに否定されたりバカにされるような人生を送って来られました。高校からは札幌の全寮制高校に入学するも、集団行動が苦手だったりと問題ばかりを起こしてすぐに退学になり、別の校則が緩い高校ですらすぐに退学になる始末。

 

通信制高校に転校するも、素行の悪い友人との付き合いが多かったりと荒んだ生活をしていました。

ある時、昼間からパチンコ店に並ぶヨレヨレの服を着て、髭も髪も伸び放題でくわえタバコをしているおじさん達を見て、自分もこんな風になってしまうのだろうか?と恐怖を感じられたそうです。

 

学校にも行けない、勉強もできないから進学もできない、アルバイトの面接すら受からない、そんな社会不適合な自分が嫌になって何かを始めようと思い立って、パソコンで商売を始めることになりました。

 

アフィリエイトと呼ばれるWebサイトを制作して商品を紹介して販売し、売上の一部をもらうビジネスを始めたことで、三崎優太さんはなんと数ヶ月で月に400万円を稼ぐまでになり、年商も1億円を突破されたそうです!

 

いつまでもコンプレックスだらけで辛かった過去を後悔し続ける人生と見切りを付けるために、彼は18歳にして会社を設立して過去を変える決断をされたのです。

しかし、年若かった当時は友達を誘って仕事をしていたものの、周囲との仕事への温度差から距離を取られてしまったりと、順調ではなかったそうです。

 

東京に上京してからも「若すぎる社長」はやはりなめられてしまい、信頼していた30代の役員から機密情報を売られそうになる事件が発覚したりと、精神的に限界になってうつ病を発症するに至りました。

 

その後、彼は数年間マンションの一室で投資家して引きこもり生活を送りました。

しかし、とんでもない事件が起きてから一念発起されました。

 

それは、彼がこれまでバカにされたり、騙されたりと苦労しながら貯蓄していた全財産の1億円を、一攫千金を狙ってすべて投資で失ってしまったことです。

これを契機に、またゼロから会社経営に乗り出しました。

 

こうして世間を短期間で驚異的な成長を遂げてあった言わせた年商130億円の美容通販会社が誕生したのでした。

しかし、三崎優太さんは成功してからも周囲の高学歴で華やかな経歴を持つ社長と自分を比較して、高校もロクに通えなかった社会不適合者であるコンプレックスから逃れることができず、さらなる成功を求めてメディアに頻繁に露出し始めたり、若手のお金持ち社長を徹底して演じて2億円の競走馬を購入したりと世間を賑わせました。

 

生々しい三崎優太さんのこれまでのどん底から大成功するまでの経緯、そして落ちても立ち上がろうとしてきた背景が著作「過去は変えられる」には詰まっているのです。

 

第3章 人生最大の試練

第3章では、三崎優太さんが国税局(通称マルサ)から受けた非人道的な取り調べについて書いてあります。

国税局が自宅に来た際には、一緒にいたファッションモデルの彼女もろとも裸にされて、全身をくまなく調べられてしまったりとかなり辛い内容になっております。。

そこで三崎優太さんは初めて、脱税と知らずに行っていた自身の行為が問題であったことを自覚されました。

 

経緯は複雑なので割愛しますが、とある人物に「事業資金が必要だ。広告を発注したことにしてうちの会社に広告費の名目でお金を振り込んで欲しい」と依頼され、人間関係から断るとが難しくそのまま引き受けてしまったことが事の発端だったそうです。

 

その後、三崎さんはマルサからの厳しい追及を経て一時はマルタ共和国に移住したりされましたが、最終的に自分にも悪いところはあったと考え直していかれました。

 

税法は非常に難しいのはもちろん、頻繁に改正されることもあって税理士ですら全てを理解しておくことは困難であると言われています。

特にどこまでを経費として認めて、どこまでを認めないのかなど、金額的なこともあれば会社や税務署の状況にもよって変わってきます。

某大手企業が数千億円の申告漏れで修正申告で済んだのに対して、三崎優太さんは1億8千万円の申告漏れで摘発されているところを考えてみると、個人的には三崎優太さんの脱税事件は悪意があったとは思えませんし、人格攻撃を受けるほどのこととは思えません。

 

第4章 自らの運命に一矢報いる

第4章では三崎優太さんがSNSを通じてお金配りをした理由や、三崎さんが思う世の中に蔓延る社会の闇、課題点について記載されています。

2019年9月、青汁王子こと三崎優太さんは自身が脱税されたとされていた1億8千万円を世の中に配贖罪寄付キャンペーンをSNSを通じて始めました。

贖罪寄付でお金を配る前には「青汁劇場」という世の中から注目を浴びるための活動をされました。

 

この時期にフォロワー4000人だったのが20万人を超えるまでになり、お金配りを始めた頃には150万人になっていました。

贖罪寄付キャンペーンを始めた理由も、ご自身がメディアや国税局から言いたい放題にされて世の中から大きな誤解を受けていたことで、自分が影響力と発信力を付けることで何とかしようという努力だったのです。

 

国税局から受けた非人道的な取り調べ、森友学園問題という国が会計書類を偽造していた不正事件、母子2名の命を奪った池袋暴走事件の犯人が元高級官僚であったことから罪を問われず特別扱いをされていたことなどを三崎さんは意を決して指摘したのです。

 

第4章ではこれまで世間を騒がせてきた三崎優太さんの活動の背景を知れる内容となっております。

高校生の頃からネットビジネスで成功されてきた手腕と、ビジネスで得た資金があったからこそここまで強く世の中に訴えることができたのです。

三崎優太さんは、私たちにとっても大きな脅威になるような社会問題を指摘してくれた私たちの味方であるとも言えます。

 

第5章 過去は変えられる

第5章ではこれまでの締めくくりと、これからの活動についてが書かれています。

「日本における経営者の地位をもっと高めて、社長を目指す若者を増やしたい」という思いから基金を立ち上げられて、若手起業家支援に乗り出したりもされています。

周囲を幸せにできる経営者として、また再スタートを図ろうとも考えられています。

 

第5章では三崎優太さんが青汁王子として成功をつかむまでに大切にされてきた「生き方」や「考え方」がぎっしり詰まっています。

読めば何事も「やるかやらないか」に過ぎないのだと改めて自覚させられる内容です。

特別な知識や経験、学歴や人脈が無くても「やる!」と決めたのなら自分の人生はいつからでも変えられます。

 

アドラー心理学では、これまでの過去に何があったのかは、今後の人生を限定することはないとしています。

今の自分のあり方は、今の自分が決めることができるのです。

 

そして、今の自分によって、未来はどうにでも変えられるのです。

人生は何度でもやり直せます。

 

犯罪者というレッテルを貼られようと、年を取り過ぎていたとしても、破産していたとしても、周囲からの信頼を失っていたとしても、今のあなたがやり直して新しい人生を生きると、この場で決断すれば、その時点であなたは変われる。

 

過去は変えられないというのが世の中の通説ですが、「あのことがあって良かったな!」と振り返ることができるようになることはできます。

過去の事実は変えられませんが、自分が過去に与えた意味は変えられるのです。

 

人生を変えたい、逆境を乗り越えたい、そんな思いを持つあなたに三崎優太さんの著書「過去は変えられる」をお勧めします。