ポジティブ心理学サロン(アドラー心理学サロン)

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大坂なおみのうつ病は本当なのか?

男女を通じて日本初となる4大大会シングルス優勝という大躍進を成し遂げた大坂なおみ選手。

 

66億円を稼ぎ、女性アスリートとしての世界記録を収入と優勝によっていくつも打ち破ってきたスーパーウーマンと呼んでもいい女性です。

 

日本人の母親とハイチ系米国人の父親を持ち、日本で生まれてアメリカで育ったプロテニス選手で、もはや知らない人の方が珍しいのかもしれません。


突然すぎて非常に驚きましたが、全仏オープンで試合後の記者会見を拒否したことで多額の罰金を科せられていたり、SNSを中心にネット上でも非難の的になってしまっています。


多くの非難と混乱を巻き起こした後、大坂なおみ選手は全仏オープンを棄権されてさらに世間の注目を集めました。


なぜ今をときめく一流のテニス選手が大事な試合をいきなり棄権してしまったのか?

 

多くの人達は疑問に思われていたと思いますが、大坂なおみ選手は自身がうつ病であることを公表し、うつ病であることを理由に棄権されました。


本人はInstagramで2018年の全米オープンの頃からうつ病に苦しんでおり、いきなり記者会見を拒否したり、棄権する事態になることは予想もできなかったと告白しています。


大坂なおみいわく、自分は非常に内向的でいつも試合に出ている時はヘッドフォンを着用しているけれどこれは社会不安から逃れる為のものですとのこと。


テニスに限らず、スポーツ選手というと元気はつらつでうつ病とは無縁そうに見えることでしょう。実際はそんなことはありませんし、見た目などの表面的なところでうつ病なのかどうかを測り知ることは不可能です。


うつ病と一言でいっても症状や病状は多種多様で一概にこれがうつ病だと判断できることは精神科医であっても非常に困難です。


特にテンションが一気に高まっては一気に下降したりする躁うつ病に関しては、うつ病の一種ではあるもののよく誤診されてしまうことも多いのです。


多くの人達がイメージする通りの精神的に弱っていて元気が無い症状のあるうつ病であったとしても、テンションには波がありますし、ましてや大坂なおみ選手についてはスポーツをしているのですから、TVで観る試合後や試合前に見る彼女の姿は健康に見えるのでしょう。


運動をすることでうつ病の症状は一時的に落ち着くものですから当然です。


つまり、私たちの見ている大坂なおみ選手の姿は、「ありのままの姿」であるとは限らないのです。

 

もともと内向的であった大坂なおみ選手は、実績を上げて有名になることで膨らむ世間からの期待に自分の心がついていけなくなってしまったのだと思います。

 

何とか自分を周囲の望む姿に変えようとしてしまい、自分と他人の境界線が分からなくなってアイデンティティが壊れそうになっていたと考えるのが現実的だと思います。

 

アドラー心理学では、他人が自分をどう思うのかは他人が決める他人の課題であり、自分が決める自分の課題ではないので区別するべきだとする「課題の分離」の考え方があります。

 

他人に自分の課題はの介入をさせてしまったり、自分から他人の課題に立ち入るべきではないと考えますので、アドラー心理学的には大坂なおみ選手の心の辛さは他人の望む姿に自分が慣れていない、もしくは他人からの期待に耐えられなくなったという見方ができます。


しかしながら、他人には本人の心の中まで知ることはできませんし、家族のような身近な存在であっても話せることと話せないことはあります。


今や多くの人達がキラキラした世界に生きる憧れの存在として崇めているインフルエンサーやYoutuber、芸能人だってキラキラした側面のみを日常生活から切り取っていたり、そう見せているから「何の悩みもない成功していて幸せそうな人」に見えているだけです。


人間は無知を恐れる傾向があるので、自分の知っている範囲、感じ取った範囲で適当な結論を出してしまうことが往々にあります。


大坂なおみ選手についての世間の噂はその99%近くがそれでしょう。


信じられないことに、まだまだうつ病は病気というよりも「甘え」とか「逃げ道」として使われてしまっているようです。


大坂なおみ選手がうつ病であることを告白してから、Twitterを始めとしたSNSでは、下記のような罵詈雑言が飛び交いました。


うつ病を言い訳にして逃げんなよ」

「みんな大変な中で頑張ってるんだろ」

「甘えてるなー、よくプロになれたもんだな」


正直に申しますと、本当に酷いと思います。

本人の感じているプレッシャーや置かれている状況、これまで経験してきたことの何を知っているのでしょうか?


身体の免疫力が人それぞれ違うように、心の免疫力だって人によって違うのです。

 

うつ病は認定された精神疾患ですし、10人に1人は診断されていないだけで軽度なうつ病になる可能性は十分にあります。


そういう心ない言葉の暴力によって、ある日いきなり自ら命を絶ってしまう人もいます。


もちろん、私にもうつ病が本当であったのかどうかはかかりつけの医師ではないので分かりませんが、十分にその可能性は高いと思っています。


2020年度にはプロレスラーの木村花さんに人気俳優の三浦春馬さん、有名女優の竹内結子さんが世間からの言葉の暴力によって亡くなりました。


真意のほどは本人にしか分かりませんが、今後は人気商売をしているとはいえ有名人に対する言葉の暴力が減って欲しいと願うばかりです。