ポジティブ心理学サロン(アドラー心理学サロン)

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認知症介護が楽になる考え方

アドラー心理学サロンです。


認知症の親の介護にあたり、下記のようなお悩みは非常に頻繁に散見されます。


認知症の親との接し方が分からず困っている」、「一生懸命話した内容を忘れられてしまい手を焼いている」、「いけないと分かってはいるものの、イライラしてしまう」など。


今回の記事では、認知症の親を介護、または介護職に従事されている方へ、アドラー心理学を基とした対処方法をご紹介したいと思います。


認知症について


最初に、アドラー心理学を基とした認知症への対処方法をご説明する前に必要となる認知症に関しての基礎知識を確認しておきましょう。


認知症とは、何らかの病気によって引き起こされるもの忘れを代表とした症状や状態の総称であり、老化によるもの忘れとは区別されます。


誰でも加齢とともに、もの忘れが多くなったりしますが、認知症は何らかの病気を原因として、脳の神経細胞が破壊されることによって生じる症状や状態となります。


認知症の病状が悪化すると、理解力や判断力が低下してしまい、社会生活や日常生活に支障が出るようになります。


認知症の大半を占める三大認知症というものがあります。


その内の約50%はアルツハイマー認知症であり、次にレビー小体型認知症、それから血管性認知症と続きます。


この三大認知症で、認知症全体の約85%をしており、残りの15%の中には治るものもあります。


数年後には、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症にあるという試算を厚生労働省がしています。


アドラー心理学を基に考える、認知症への対応


介護をしていると、うんざりしたり、悲しくなったり、ムッとしてしまう場面も頻繁にあります。


認知症だから仕方ないと分かっていても、人間である以上はこうした感情と無縁ではいられないことでしょう。


下記にて、認知症の良くある症状別に、考え方と対処方法をご説明します。


一般的な認知症の方への対応方法と似ているところもありますが、アドラーらしく未来志向です。


もの忘れを指摘しない


認知症の方の、思い違いやもの忘れが、周囲の人には妄想や幻覚でも見ているのではないかと思えることもあります。


認知症は脳の病気ではありますが、何を忘却し、何を、どう記憶にしているのかは、自分で選択していることも多いのです。


本人が思い出したくない、忘れたいと思い忘れているのなら、忘れていることをわざわざ指摘したり、思い出させたり、記憶を訂正しようとしてはいけません。


親が認知症を患っており、過去を失って家族のことすら忘却してしまうことを悲しく感じることでしょう。


「こんなことまで忘れてしまったか…」とがっかりするよりも、親が覚えていることや忘れていることが、現在の心境や家族関係によって変更されているのなら、さらに変更を加えることも可能です。


親との関係を変えていくように努力していくことが現実的であり、建設的と考えられます。


同じ話の中から再発見


認知症の方から、何度も何度も同じ話を聞かされてうんざりしてしまう方も多いことでしょう。


しかし、毎回、話の大枠は同じでも、よく聞くと細部で微妙な違いがあります。


その微妙な違いは、現在の心情や関心を知る手がかりとなります。


繰り返し同じ話をしているということは、その方にとって大切なことであり、執着していることでもあります。


介護を続けている上でも、何を大切だと思っているのかや、細かな心境の変化などを知ることは介護のやり方を考えることに役立ちます。


妄想を否定しない


妄想は、認知症には良くある症状です。


突然、自宅にいるのにも関わらず、家に帰りたいと言いだしたりと明らかな妄想としか思えないようなことを言いだしても、本人に危険が及ぶことでないのなら否定する必要はありません。


本人に危険が及ばないのなら、現実世界に引き戻そうとするよりも、こちらからその世界に入ってしまいましょう。 


そうして穏やかに見守ることで、徐々に落ち着きを取り戻して現実に戻ってきます。


否定をしてしまうと、余計に症状を悪化させてしまいます。