ポジティブ心理学サロン(アドラー心理学サロン)

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【知ってるよね❓】親の育て方が許せない時に気持ちを整理する考え方

アドラー心理学サロンです。


メールにてご相談頂いた内容を事例として質問と回答のセットでご紹介致します。


今回のご相談は、経済的に不自由しないお父様から、精神疾患で苦しんでいるにも関わらず援助が打ち切られてしまう事実を受け入れられないとのご相談です。


金銭的な援助にしろ何にせよ、子供が幼いうちは子を保護するのは親の課題ではありますが、成人している場合にはアドラーの課題の分離と捉え方も異なります。


多くの方がお悩みであろう親子関係の問題に加え、親から受けたしつけや与えられた環境によって自分が受けた辛かった仕打ちへの考え方を、アドラー心理学を基に回答致しました。


個人情報に関しましては、個人の特定やプライバシーを守る為に、ぼかしを入れております。


アドラー心理学を活用したご相談事例が、皆様のお悩みの解決の一助となれれば幸いです。


Q1. ご相談

初めまして。

いつも拝読させていただいております。

ご相談したい事があり、メールした次第です。


私は現在、40代で無職です。

7年ほど前から双極性障害にて、働けない状態が続いています。

今は親からの援助で生活しております。

私の父は某大企業の役員で、イタリア製の高級スポーツカーに乗っています。

この車を買って維持できる程の収入があります。


ですが先日、7月で援助を打ち切るので、それ以降は生活保護になってくれと言われました。

理由は

①自分達の老後の金がなくなる。

②孫のアメリカ留学に金が掛かる。

との事でした。

①について父に「高級スポーツカーを維持するお金はあるけど、私に援助する金は無いのか?」と尋ねると、「無い」との返答でした。


アドラー心理学の課題の分離という考えに基づいて考えると「私に援助するかしないか?父が稼いだお金を何に使うか?は父の課題であり、そこに干渉すべきではない」という事になるのでしょう。


ですが、我が子の事よりも孫や自分達の老後の事を優先する両親をどうしても許す事ができません。

 

私の病気の根底には、生育環境があると、ドクターからも言われています。

 

こんな病気になるような環境で私を育てておいて、自分達だけ穏やかな老後なんて許せません。


ですが、私が前に進む為にはこの事実を受け入れるしかない事も理解しているつもりです。


そこで、こんな私に何か良いアドバイスを頂ければ幸いと思いメールした次第です。

何卒宜しくお願い致します。


A. 回答

アドラー心理学サロンです。


ご相談ありがとうございます。


双極性障害で、うつ病症状や躁状態に苦しまれている中、親から生活の援助を打ち切られてしまうと辛いですよね…


ご認識の通り、アドラー心理学の課題の分離で考えると、子の援助を親がするかしないのかは、子が成人しているのなら親が決める課題となります。


確かに、その判断に介入して、親の考え方や生き方を変えようとするのはアドラーの言う、他社の課題への介入となります。


ただ、このアドラー心理学の課題の分離ですが、どこまでを自分の課題にするのか、他者の課題にするのかは人によって隔たりが生じますので、明確な基準は存在しません。


あなたが、援助を引き続きもらおうとするのが他者の課題への介入になると思われるのなら、援助してもらおうとしてしまうとアドラーの言う通りの介入となります。


他者の課題への介入をしても良いということは、自分の人生も他者に変えられてしまっても仕方ないという依存関係のような状態になってしまうので、これは避けた方が良いと思いますが、ある程度独立した個人として助けを求めるのは親としても課題に踏み込ませたとは思わないと思われます。


また、かかりつけのお医者様から、生育環境に今の状態の原因があると言及があったとのことですが、耳が痛い話になってしまうかもしれませんが、アドラー心理学では過去は現在の説明にはなっても、原因にはならないと考えます。


精神科医の治療は、患者をなだめながら薬物療法で落ち着かせるという、過去のトラウマなどの原因への対処を中心にしていることが多いのですが、アドラー心理学は未来に向けた考え方で対応します。


もちろん、過去からの影響はあるとアドラー心理学でも考えますが、結果と結びつく因果関係は存在しないとしています。


あなたと全く同じ環境で育つ人間は存在しませんが、同様の過去を持つ人は大勢おりますが、全員が同じ状態になっている訳ではありません。


同じ過去の経験を持つ人たちが、同じ未来を辿っている訳ではありませんので、その時点で過去からの因果関係が存在しないことになります。


しかし、あなたはあなたです。お辛いことも沢山あったことでしょう。自分を責める必要は全くありません。


今のあなたの在り方は、厳しいようですがアドラー心理学ではあなたが選択した結果ということになりますが、その選択をせざるえないこともあったと思います。


あなたはあなたであり、あなたは自分のその時、考えられる最良の選択をして来たのです。だからこそあなたは今生きていて、まだやり直しもできるのです。


過去の自分はしっかりと認めてあげて、何よりも大切なこれからのことを少しでも良くしていくことを考えましょう。


誰にでも、「上手くいったこと」や「駄目だったこと」はありますので、過去の自分の良いところを拾い上げて自分を褒めて自信を付けていきましょう。


他人とあなたは、育った条件も性格も何もかも違うのですから、生き方を他人と比べる必要はありません。


他人と比べて、自分が「上」にいるのか「下」にいるのかで自分を評価せず、過去の自分よりも「前に進めているのか?」を基準にされるのはいかがでしょう?


こうして自分の過去を受け止めて、少しずつでも前進ができればお父様との課題を分離しやすくなり、事実を受け入れられるかもしれません。


「未来志向の心理学」と呼ばれるアドラー心理学は、過去への対処を基本とした巷で出回る多くの心理学とは異なるスタンスであり、驚きや戸惑いがあったかもしれませんが、お悩み解決の一助にでもなれましたら幸いです。