アドラー心理学サロンです。
あなたは、人から頼みごとをされた時にしっかりと断れていますか?
世の中には、人から何かを頼まれるとどうしても断れない人が非常に多いのです。
人からの頼みを断れない心理には、たいてい「嫌われたくない」もしくは「良く思われたい」という思いがあります。
本記事では、人から何かを頼まれた時に断れず、いつも大変な思いをして損ばかりしている人に向けて、他人からの頼みごとを断る考え方と方法について解説させて頂きます。
「人から頼まれると、どうしても断れない」
「困っている人がいたら、つい手伝ってしまう」
こうした捉え方をする人は、たしかにとても優しい性格の持ち主であることは間違いありません。
しかし、いつまでも自分のことを後回しにして「いい人」になることはほどほどにしないと、つらい思いをするだけです。
本当は要領も良く、機転が利くのにも関わらず、自分のことを後回しにしてまで他人からの頼まれごとを手伝っていて、周囲から「仕事ができない」、「気が利かない」、「要領が悪い」などと思われている方はとても多いです。
こうして、嫌われたくない、良く思われたいという心理が強すぎるあまり、自分のことよりも他人のことを優先してしまうことで自分のことに支障をきたしてしまうのでは、「いい人」を通り越して「都合のいい人」になってしまっています。
おまけに、会社の中で自分の仕事が遅れたりすれば、周囲に迷惑をかけてしまうのはもちろん、家庭の中の家事でも、自営業であっても関係者に迷惑をかけてしまうことになります。
周囲の関係者からすれば、自分よりも他人を優先して迷惑をかける人は「都合のいい人」でもなく、「困った人」になってしまうのです。
ここまで考え至ることができて、気を使っていれば安易に「自分のことは後回しにして、他人の手助けをしてあげよう」なんて考えはいけないと理解できるはずです。
自分の承認欲求を優先して、みんなから嫌われたくない、みんなからいい人だと思われたいという思いを達成しようとしているのは、むしろ自分の気持ちばかりを優先して周囲の人たちのことを考えない自己中心的な考えを持ち、行動をしていることになってしまいます。
心理学者アドラーは、他人への貢献を心がけることを幸福な人生を送る為に必要なことであるとして提唱しておりますが、他人への貢献には自己犠牲を伴ってはならないとしています。
人からの頼まれごとを引き受けるのなら、自分のことをこなせる自信や余裕がある時だけにして、自分のことを済ませてから手助けをしてあげることは自立した大人としてのマナーでもあるのです。
もちろん、無下に他人からの頼まれごとを断るのは気が引けることですし、罪悪感を感じることもあると思います。
しかし、極端な条件や状況を除くと、自分のことよりも他人のことを優先してしまうのは前述の通り、自分の承認欲求を満たすことだけしか考えていない自己中心的な人間になってしまいます。
他人から好かれたい、嫌われたくないという過度な承認欲求は、他人が求めるがままの、他人によって都合のいい他人の人生を生きる原因になってしまうとして、アドラーは過剰な承認欲求を持つことを否定しておりました。
自分らしく、自分が満たされる人生を送れるようになるには、他人よりも自分を優先した自分の人生を生きる必要があります。
頼まれごとを仕方なく引き受けてばかりいると、いつでも頼めば断れない人だと思われてしまい、ますます断りづらくなってしまいます。
時には、アドラーの課題の分離という考え方を応用して、自分が他人からの頼みごとを断っても、それを他人がどう思おうのかは他人の課題であって自分の課題ではないんだという割り切りが必要となります。
嫌われたくないという思いを達成するために、身も心も追い詰められて、挙げ句の果てには「便利な人」、「都合のいい人」だと思われて上手く利用されているのでは、本意ではないはずです。
人のお手伝いをしてあげたり、頼みごとを聞いてあげるのは、あくまでもあなたは自分のことができると自分で確信できて、余裕がある時だけにしましょう。
どこまでが自分のことなのか、他人のことなのか、どんな状況なら他人のことを手伝ってあげるべきなのかは、自分で見分けられるようになりましょう。