アドラー心理学サロンです。
「毎日、仕事や家事に追われてしまい余裕が無くなって気持ちが満たされない。」
「満たされない気分から抜け出すことができず、モヤモヤしたままやる気が起きない。」
「毎日が退屈で、いつも疲れている。」
こうしたお悩みを抱えて苦しまれている方は沢山いらっしゃいます。
そうした方々は、仕事や家事、子育て、人間関係、学校などの外部的なことからこうした苦しみを抱えられている方がほとんどだと思われます。
まず、心が満たされないとはどういった状態のことなのかを認識しましょう。
心が満たされないのは、何かが足りないという「不足感」が原因となります。
何か物足りないと感じて心が満たされないと思われている方は多くいらっしゃいますが、実は「不足感」によるものだと分かっている方は実は少数派なのです。
何らかの外部的なモノである、やりがい、成績、恋人、友人、服、家などの形あるものであるかに関わらず欲しかったモノが手に入ればこの「不足感」は一時的に満たすことができます。
しかし、あくまでも一時的な充足感でしかなく、時間が経つとそれがあるのが当たり前となり、また「不足感」に苛まれます。
そこで本記事では、満たされない気持ちに苦しめられている人たちへ向けて、どのように原因となっているこの「不足感」を埋めていき、満たされない気持ちから脱出するのか、その方法についてアドラー心理学を基にご説明していきます。
1人でも多くの方が、満たされない不幸な心境を抜け出して、充実した毎日を送れるようになれれば筆者としては望外の喜びです。
目次
現状に100%満たされることはないと認識する
先に認識しておいて頂きたい点が、現状に100%満足している人なんて存在していないという事実です。
人生において、瞬間的に「もうこれで100点満点、これ以上欲しいものは何もない」などと瞬間的に思うことはあるでしょう。
残念ながら、人間には「優越性の追求」という常に向上を目指す性質があるとアドラーは言います。
人間はいつも、「もっとこうだったらいいな」、「あれが手に入ったらもっとよくなるはず」といった欲望を持つ生き物です。
自分の心を満たすことができるのは、自分だけなのです。
つまり、自己完結とも言える「自己満足」をすることで外部的なモノによって自分の心を満たすのではなく、自分自身で自分の心を満たすのです。
自分と向かい合う
自分で自分の心を満たすには、まずは自分自身としっかりと向かい合って対話をする必要があります。
自分は本当はどうありたく、何がしたくて、何が好きで、何を嫌っているのか、しっかりと理解する必要があります。
この考え方は、誰かを喜ばせる為に何をするべきかを考える時に、その人について情報をたくさん知っていれば簡単にわかる理論と同じです。
少しずつでも自問自答して自分自身を解明しましょう。
自分自身を解明していくうちに、自分の欠点が明らかになってきて嫌になることもあることでしょう。
しかし、それはあなたの身近な人も同様で、人には長所と短所が存在します。
他人の長所と短所よりも、自分自身のことをよく知ることが大切です。
人は他人のことは完全には理解できませんが、あなたが自分に隠し事をしない限り自分のことはしっかりと理解することができます。
こちらの記事もご参照下さい。
自分自身との信頼関係を深める
自分と向かい合うことに慣れてきましたら、更にもう一歩踏み込んでいきましょう。
たとえば、「この仕事、楽しくないし嫌だな・・・」と思ったら、初めは「自分はこの仕事を嫌がっているんだ」と認めるだけでも良いです。
ただ、もう一歩踏み込んで、「この仕事の何が嫌なのかな?」、「どうしたらもっと満足して仕事ができるのかな?」などと、考えてみるのです。
そうしていくうちに、「上司がマウントしてきて威圧的で嫌だ」や「職場のAさんが苦手で職場に行きたくない」など具体的で様々な理由があることに気づくことでしょう。
自分の本当の心と向かい合い、「何を、どのように嫌だと思っているのか」また、「転職したり、退職しなくてもその嫌なところを解消もしくは緩和したりできないのか?」を考えてみましょう。
ここで大切なのは、自分が何を嫌だと感じているのか、しっかりと自分と対話することであり、その事実を把握することにあります。
決して、「嫌なことを解決する目的で行動すること」ではありません。
嫌なことをもんもんと考えていても嫌な気分になるだけなので、一旦は忘れてしまって自分の「理想のあり方」を想像しましょう。
自分の理想は細かく具体的に想像して描くことができるということは、自分との対話がしっかりとできていて自分との信頼関係が築けていることになります。
こうして自分との信頼関係を深めることができれば、嫌なことが現実的に解決していなくてもあなたの精神状態は以前よりずっと良くなっています。
自分との信頼関係を深めることは、精神衛生を整えて、「良い気分」作り、現実を変える為に必要な行動を起こしたり変えたりする為に必要なステップとなります。
つまり、この「良い気分」は、現実を変えていく力を持っているのです。
心の状態を良好に保つことで、嫌なことを解消して人生の諸問題を解決していくのです。
「良い気分」でいることで前向きな行動を自然と取ることができるようになり、嫌なことがあっても良い方向へ進路変更することができ、満たされない重いから解放されることにつながるのです。
「良い精神状態」を作る「良い気分」は、あなたがあなた大切にしないと持つことは難しいのです。
自分の価値は相対的なものではなく、自分自身で決めるものです。
客観的事実など存在しないとアドラーは提唱しており、全ては主観的な解釈に基づくとしております。
客観的な事実を証明する為には、論理的に証明できる条件という共通認識をお互いに持つ必要がありますが、そもそも人間ごときがこの世の事実や事象を全て把握するような能力はありません。
つまり、他人に何を言われようと、どう思われようと、会社や学校からどんな評価をされようと、それはあなたの価値を決めるものではありません。
アドラー心理学では、他人が自分をどう思うのかは相手の課題であり、自分は相手の課題には介入することはできないとしております。
自分ができることは相手の認識を変えてもらえるように長所をアピールしたりすることくらいであり、最終的な判断はどうにもできないと割り切る必要があるという考え方です。
他人にあなたの価値を決めさせるということは、私は和食が一番好きなのに、なんであなたは洋食が一番好きなんだ!と悩んでいることに本質的には同じなのです。
また、他人や世間からの承認してもらいたいという「承認欲求の否定」もアドラーは否定しております。
他人からの承認を求めて生きるということは自分の人生ではなく、他人の期待に応えようとしているだけの不幸な人生を生きることにつながってしまうという考え方です。
こうした他人や世間からの評価を無視して、自分自身の存在価値を自分で決められるようになるには、本当の意味で自立した大人になる必要があります。
詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
アドラーの提唱している、「課題の分離」と「承認欲求の否定」の考え方については、自分勝手でニヒリズムに満ちた現実的ではない話であると批判や誤解を受けることがあります。
上記の記事でも詳細の説明はありますが、こちらでもご理解を深めていただけますと幸甚です。
自分の機嫌を取る
「上機嫌は意思、不機嫌は惰性」こちらはフランスの哲学者アランの言葉ですが、アドラー心理学に通じるところがあります。
機嫌を良くするか悪くするのかは自分の課題であり、他人には介入することはできません。
他人に嫌がらせをされても、それで不機嫌になるのか、嫌がらせをされても不機嫌にならず上機嫌を保てるように対処するのかは自分次第です。
その対処は様々ですが、普段から自分を「良い気分にできること」をどんなに些細なことでも積み重ねていきましょう。
あなたが望むこと、たとえば「出世したい」、「成功したい」、「周囲の人たちから認められたい」といった堅苦しい願望だけでなく、自分と信頼関係を築けているのならもっと軽やかな「こうしたい」が湧き出てきていることでしょう。
「旅行したい」、「新しい服が買いたい」、「お菓子が食べたい」、「数日ゆっくりしたい」、「運動を始めたい」など、色々とあるはずです。
こうした小さな自分の「こうしたい」を少しずつでも行動に移していきましょう。
そうした小さな「自分を良い気分にしてくれること」を積み重ねることで、満たされない気持ちの「不足感」は少しずつ満たされていくものです。
給料が上がったり、結婚したり、~円貯めたり、家を買わないと満たされないなんてことはありえないのですから。
自己肯定感を上げる
人から大切にされていない、人から注目されていない、だから自分は価値が低いと感じて満たされない思いを強くしてしまう方は多いことだと思われます。
「一生懸命に努力しているのに、なんであの人は評価されて自分は評価されないんだろう・・・?」
「あの人は人気者だけど自分は誰にも相手にされていない影の薄い存在だ・・・」
「自分はどんなに頑張っても、努力が報われることはないんだ」
などと悩まれる方はとても多くいらっしゃいます。
しかし、「人は自分をどう扱うのかによって、人に自分をどう扱って欲しいのか」を伝え、「人はあなたがどのように人を扱うのかを見て、あなたの扱い方を決める」というパターンがあります。
自分を大切にして、自分の気持ちを満たして「良い気分」を持ち、それによって人を大切にする余裕が生まれます。
そうして人を大切にすることで、段々と周囲の人たちのあなたへの扱い方も良い方向へ変わっていくのです。
逆説的ですが、頑張っても報われないのは、「頑張っていない自分には価値がない」と自分で思い込んでいるからです。
自分にしても、他人にしても、その行為のレベルではなく「存在」をゼロからの足し算で捉えましょう。
人は誕生した時には無力な赤ちゃんです。しかし、その何の役にも立っていないあなたは存在価値があり、大切にされてきたからこそ「今」生きているのです。
自分や他人を「理想像」から引き算するのではなく、ゼロからの足し算で認識することで自分を大切にすることはもちろん、他人を大切にする気持ちを持つことができるのです。
本記事でこれまでご紹介した考え方を実践していただけましたら、自分との信頼関係を深め、本当の自分をしっかりと理解し、今までより自分のことも他人のことも好きになれることでしょう。
むやみに外側のモノを得ることで、自分の気持ちが満たされない「不足感」を埋めることに頼ることはやめて、自分でどうにかできる「内側」を変えることで、あなた自身の気持ちを満たすことのでき、あなたを取り巻く世界もずっと住みやすい場所に変わるのです。