アドラー心理学サロンです。
メールにてご相談頂いた内容を事例として質問と回答のセットでご紹介致します。
今回のお悩みは、自分の中で許しがたい行動を取る人の存在を認めることができず、消えて欲しいと考えてしまっては自分まで辛くなってしまうとのご相談です。
他人の行動や考え方が自分の中で間違っていると感じ、許せないと退治してやりたい思いに駆られることは誰でも一度は経験されたことがあることでしょう。
こうしたお悩みへの対処方法を、アドラー心理学の考え方をベースにご案内させて頂きます。
個人情報に関しましては、ぼかしを入れております。
皆様のお悩みの解決の一助となれれば幸いです。
Q1. ご相談
年齢(年代でも可)
20代
・性別
女性
・職業
接客業
・今後どうありたいのか
理想の女性でいたい
・ご相談内容
初めまして。
私は今とても自ら命を絶ちたいです。汚いモノを見るとすごく破壊衝動に駆られて生きるのが辛くなります。今身近に不倫をしている女性がいます。不倫だけでも不快なのにその女性はだらしないので、男なら誰にでも胸を触らせます。触らせて、触られて喜んでいるように見えます。
本人にとっては普通の事なのかもしれません。ですが私はそれを見る度に嫌悪感を抱き殴りたくなります。それから男性に対して、少しでも自分が上だと思っているとその男性を強く叩いたり、暴言を吐きます。私の彼も叩かれて暴言を吐かれました。
彼は酔っ払っていたし場の雰囲気もあるから気にせずにいたと思います。その彼と私の関係はその女性には秘密です。知らないから私が不快になる事も気づかないのは分かりますが、人に対して強く叩いたりデリカシーのない暴言を吐く行為が許せません。
冗談でみんなが笑えるレベルではないのです。ましてや私の大切な大好きな人です。余計に腹が立ち、でも彼が雰囲気を壊さないようにみんなが楽しめるようにと気を遣っていたので私も耐えてしまいました。自分は偉いから許される、発言が全て上から目線、とても不快です。
けど私が腹を立てているのは彼に対する独占欲からなのかと思うと、私自身に嫌悪感を抱きます。私は独占欲がかなり強いです。嫉妬深いし、これは私の自分勝手な欲なのではないかと。
そう思うと私自身がめんどくさい女で、そういう自分が嫌で、なのにその女性に対する怒りも抑えられなくて、自分の感情についていけなくて、疲れて、いっそこの世を去ろうかと考えてしまいます。
彼にその事は言っていません。めんどくさいと思われたくないから言えません。不倫や誰彼構わずだらしない人に対して異常に反応してしまうのは、義理父が不倫をして消えたという過去があるからだと思います。
実の父は知りません。話によるとストーカーになり事故で逝去したらしいです。義理父は暴力を振るう人で、不倫をして消えました。母も暴力や暴言が酷い人でした。今まで付き合ってきた人達は暴力的でやモラハラ系の人でした。
今の彼は私を大切にしてくれます。自己中だったりするけど、人の気持ちも考えられる素敵な人です。そんな彼を傷つける人間が許せません。他人を傷つける事に気づかない人間が嫌いです。でも、そんな事を偉そうに思ってる自分も嫌いです。存在を許せません。この世を去りたい思いがあります。何がよくて何が駄目か分からなくなってしまいました。今とても自分の事が大嫌いです。
・問題だと思う点
自分の極端な思考
長くなってしまいましたがよろしくお願いします。
A. 回答
アドラー心理学サロンです。
ご相談頂きましてありがとうございます。
自分が間違っていると思う存在を否定して、消えて欲しいと思ってしまうこと、そう思ってしまう自分も消えてしまいたくなる。
こうした思いを持たれるのはあなただけではなく、他にも沢山いらっしゃいます。
自分と著しく異なる考え方、間違っているとして許しがたい行動を平気で取る人は必ず存在します。
自分が辛い思いをしてしまい、その人のこともどうしても自分の中で許せないのであれば、そうした人と、上手く距離を保つ術を身に付けると良いかもしれません。
あなたの義理のお父様もその許しがたい女性と同じように、異性にだらしないところがあり、その嫌な記憶が蘇ることで余計にその女性に対して嫌悪感を抱かれているとのことですが、あなたがどう捉えるのかどうかは、今のあなたがどう選択するのかで変えることができます。
アドラー心理学では、この世に客観的で誰から見ても正しい事実は存在せず、全てはそれぞれの人たちによる主観的な思い込みであり、その思い込みによって見ている自分の世界は誰とも共有できないほどに独特で、自分の中だけのものとなるとしています。
無意識に、自分を傷付ける存在であるとその女性を認識してしまっているのだと思います。もちろん、本当に傷付けてくることもあるかもしれませんが、基本的には距離を取っていればあなたには何の関係も無い人です。
距離の取り方は様々ですが、同じ職場の方なのであれば転職してしまう方が良いかもしれません。どんな場所にも、あなたが存在自体を許せないと感じるような人はいると思いますが、そこまで嫌な過去を思い出して精神的に病んでしまうくらいならば徹底して距離を離すことも大切です。
アドラー心理学の代表的な考え方の一つに、「課題の分離」という考え方があります。この考え方は、他人が何をどう思い、何をするのかはその人の課題であり、自分の課題ではない為に他人の課題に介入して他人を変えることはできないし、自分も他人に変えさせてはいけないという考え方です。
その彼女が異性にだらしなく、自分の身体をどう扱うのかはその彼女の課題であり、あなたには「そういうことしてると、ちゃんとした恋愛ができなくなっちゃうよ」と諭したりすることはできても本質的には変えられません。
あなたの彼氏さんが、どんなことをされても、どう捉えるのかはその彼氏さんの課題であり、こちらも本質的に変えることはできません。
他人の在り方を否定して、「こうあって欲しい」という思い、消えて欲しいという思いを持つこと自体も含めて、他人を変えたいという欲求があなたの中にあり、自分の正義感を押し付けてしまっている一面があります。
こうして他人を変えようとしたり、その在り方に悩み苦しんでしまうことは他人の課題に介入してしまっていることと同時に、逆説的ですがあなたも他人に変えられても仕方ないと思わざるを得ないことになってしまいます。
他人の課題に介入してしまうのなら、自分の課題にも介入されても仕方ないという感じです。
また、あなたの正義の反対は他人の正義であることもあります。
その女性も、そのような異常な行動を取ることには何らかの理由、背景がある可能性があるはずです。過去に男性から軽んじられた経験などから、自分に自信が無く、そうした形で身体を触らせるなどでアピールをしないと自分の女としての価値を感じられないのかもしれません。
あなたからして異性にだらしなくしないことが正義だとしても、その女性にとっては、その行動が自分を保つ為に必要な正義になっているのかもしれませんね。
他人の在り方、振る舞いで嫌な思いをすることはあると思いますし、限界ならその相手から離れることは必要とはなります。
しかし、このアドラー心理学の課題の分離をして、自分は自分、他人は他人として認めるとまでいかなくても、相手への否定欲求や自分が気分を悪くすることを軽減できるようにしてみるのも、今後のあなたに役立つことでしょう。
極端な考え方は、悪いものではありませんが、自分を苦しめて自暴自棄な思いにしてしまうのなら考えものです。
自分がどう思うのかの前に、その反対に相手がどんな思いでいるのかと考えたりと中間地点を探し出して自分の昂ぶる気持ちを鎮めて平穏な日常を送れるようにすることは生きていく上で重要なスキルとなります。