アドラー心理学サロンです。
今回はアドラー心理学の「意味づけ」の変え方について解説させて頂きます。
私はこれまで、過去の失敗や辛い過去への捉え方を変えましょうという発信を続けてきました。
この根拠は、アドラーの言う「意味づけ」の変更にあるのです。
アドラーの「意味づけ」とは、人は自らが主観的に意味づけした世界に住んでおり、その世界は他の誰とも共有して同じ世界を他人と見ることはできないというアドラー自身の言葉に根ざします。
つまり、誰から見ても同じ客観的に裏打ちされた事実としての世界には、人は住んではいないのです。
人それぞれの「意味づけ」という、主観的な捉え方によって認知された世界が異なるからです。
つまり、過去の捉え方も人それぞれであり、その人独自の意味づけを通して世界を見ているのです。
アドラーはこの意味づけが人によって異なり、客観的な事実として過去のトラウマの存在を否定しております。
アドラーは、育った環境である子ども時代の捉え方を、引き合いに解説しております。
自分の育った環境である、子ども時代の捉え方は同じような生い立ちであっても人によって大きく変わります。
例えば、、、
ある人は不幸な生い立ちである経験を、今後は回避する為に努力しようと考えます。
そう考える人は、「自分の経験した不幸な生い立ちを自分の子どもには経験させないように努力して、自分の子どもにはより良い環境を与えてあげよう」と意味づけをします。
しかし、自分の生い立ちが悪かったことから、世の中は不公平で自分は酷い扱いを受けたのに何で他人に良くしてあげないといけないの?と、努力しても克服できないと考える人は「自分は子ども時代には酷く苦しめられたのだから、自分の子どもにも宿命として同じ様に苦労を切り抜けて欲しい」と意味づけします。
また別の人は、自分は周りの人たちが生まれつき持っているものを持っていない可哀想な人間であり、救いが本来ならば必要だとして「自分は不幸な生い立ちなのだから、何をして許されるべきだし、気遣ってもらう権利がある」と考えて意味づけをするかもしれません。
人がどんな意味づけを人生に与えているのかは、その人の行動から見て取ることができます。
つまり、このアドラーの言う「意味づけ」は、過去だけではなく今、人が置かれている状況にも同じことが言えるのです。
つまり、人は自分が知らないうちに決めた目的に向かって行動しているのです。
この目的を自分の中で見つけ出し、自分がどうしていきたいのか?という観点から再選択することで、このアドラーの言う「意味づけ」を変えることができ、自分の人生を変えることができるのです。
ただ、アドラーは過去は原因にはならなくても、その過去からの影響はあるとしております。
よくアドラー心理学は厳しい心理学だと評されますが、ただ厳しいだけではありません。
最後に、この意味づけに関するアドラーの言葉をご紹介します。
このアドラーの言葉をお読み頂ければ、人は同じ経験をしたからといってもみんなが同じようになる訳ではなく、同じ経験でもそれぞれが異なる意味づけを行うことで、過去の経験の捉え方も今の自分のあり方も変わるというアドラーの考え方をご理解頂けると思います。
アドラーの言葉
個人心理学が決定論から逸脱するのはここにおいてである。
いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない。
われわれは自分の経験によるショック、いわゆるトラウマに苦しむのではなく、経験の中から目的に適うものを見つけ出す。
自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定するのである。
そこで特定の経験を将来の人生のための基礎と考える時、おそらく何らかの過ちをしているのである。
意味は状況によって決定されるのではない。
われわれが、状況に与える意味によって自らを決定するのである。