アドラー心理学サロンです。
メールにてご相談頂いた内容を事例として質問と回答のセットでご掲載致します。
今回のご相談は、過去のいじめの経験から劣等感が強くどうしていけば良くなれるのか?というお悩みです。
アドラーの観点から、過去のいじめの経験をどのように乗り越え、どのように劣等感を克服していくべきなのかご提案させて頂きました。
個人情報に関しましては、一部ぼかします。
あなたの悩みの解決に、本記事が役立ちましたら望外の喜びです。
Q1. ご相談
初めまして。塩田(仮名)と申します。34歳の男性です。
仕事は福祉的就労(就労継続支援A型事業所)の出版社で働いています。
今後どうありたいのかは、社会の中で自分の居場所を見つけたいと思っています。社会の中で自分らしく生きるというか。
そのために今までの人生を小説にしようと、執筆中です。
目標は作家です。
相談内容ですが、(持病の統合失調症が良くなってからの)セルフスティグマです。自分で自分に劣等感という烙印を押してしまいます。
発病は18歳でした。その頃は現実がよくわかっていなかったんですが、病気が良くなってきてからの方が苦しく辛いです。
どうすれば段階的に良くなるでしょうか?
問題だと思う点は、中学時代にいじめられ過ぎて、なぜか自分に厳しくなり過ぎていることだと思います。
よろしくお願い致します。
A. 回答
アドラー心理学サロンです。
ご相談ありがとうございます。
持病をお持ちとのことですが、病状についてはこちらではご説明が難しいところがありますので、掛かりつけのお医者様へご相談をお願い致します。
過去のいじめのご経験から、なかなか前向きになれず劣等感に苦しめられている状況なのだと思われます。
アドラーは、劣等感を無くすことはそもそも不可能であるとする考え方を提唱しております。
アドラーは、劣等感を持つことが問題なのではなくて、劣等感をどう扱うのかが問題であるとしています。
劣等感を安易に穴埋めしようとすれば、単に他人を批判して自分の価値高めようとしたりと、負のループに陥る危険性もあり、また健全に努力して劣等感を克服するようにすればどんどん成長することができます。
過去のいじめの経験から、責め立てられて自分の存在価値を低く見積もってしまっているのかもしれませんね。
人の存在価値は、何ができるのかといった生産性で決まるものではなく平等です。
人は何の役にも立たない状態で生まれてきて、育まれて成長します。
それはあなたの将来的な生産性に期待してのことではなく、もともと人が持っている存在価値があるからです。
なので、特定の領域における生産性として例えば仕事がどのくらいできるのかという成績でのランクは存在しても、それがそのままあなたの存在価値になることはありません。
なので、あなたが中学生の時にどれだけ周りから罵倒させていたとしても、それはその人たちの劣等感の穴埋めのはけ口としてあなたに八つ当たりしていただけであり、あなたの価値が本当に低い訳ではないのです。
また、少々厳しい話になるかもしれませんが、アドラーは目的論を唱えており、過去の特定の出来事であるトラウマなどが今のあなたを規定することはないとしています。
アドラーは、過去は現在の解説にはなっても、原因になることはないとしています。
つまり、今のあなたのあり方はアドラーの観点から解説すると、あなたが選択していることになってしまうのです。
どういうことか解説しますと、自分はいじめにあっていたから劣等感が強く前向きになれないという原因論ではなく、前向きになってもどうせ自分は強い劣等感から逃れられないから仕方ないと諦めたり、後ろ向きに生きる選択を自分でしてしまっているということです。
もちろん、過去からの影響はありますし、その点はアドラーも言及しております。お辛かったと思います…
ただ、一般的な精神科医や心理カウンセラーの多くが唱える原因論と違い、アドラーは人は目的に向かって今の自分のあり方を再選択できるという考え方です。
あなたも人の為、世の為、ご自身の経験を生かして世の中へ貢献されたいとのことですので、こちらを目的として前向きになる選択をしていくことでより良い人生を生きていけると思われます。
アドラーの考え方はあなたにはとても厳しく響いてしまったかもしれませんが、あなたのやりやすいやり方で一歩ずつ前に進められればどんな考え方でも良いと思います。
応援しております。